2011年12月20日火曜日

i-SIM News 095/震災にスポーツの価値を問う

本年を振り返る。東日本大震災において被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。私たちの研究所の役割は「スポーツ」や「情報」によって復興に向かう人々を「つなげる」ことです。それは、この極めて大きな災厄を胸に、さらに深くスポーツの価値やその役割を追求し続けることだと考えています。(ISIM 粟木一博研究員)

 今年も暦の上ではクリスマスが巡ってくる。ただ、今年は、贈られるはずだったプレゼント、贈るはずだったプレゼントに思いを馳せるとやりきれない気持ちが募る。平成23年は「スポーツ」をキーワードに集うわれわれに対してその意味と価値は何かという問いをこれまで以上に強烈につきつけた一年となった。
 人の営みはそれが求めるものを直截に反映させる。3月11日に直面した人々は、その当初、当然のことながら「生きるためのもの」(例えば食糧や安全)を強く求めた。東北楽天ゴールデンイーグルスの主軸であった山崎武司選手が「野球やってる場合じゃないでしょ」とあるドキュメンタリー番組でその時の心情を率直に吐露している。ここにスポーツの入り込む余地はあったのか。時間が経過し、避難所生活を余儀なくされた人々はその強く逃げ場のないストレスに苦しんだ。ここでは、スポーツの根幹をなす「運動」がそれを癒したり、そこに端を発する病を防ぐことに役立ったりした。
 さて、半年後、私たちの研究所は第4回国際スポーツ情報カンファレンスを開催した。そのテーマは「大震災 スポーツの明日を考える」である。日本オリンピック委員会(平眞事務局長)からは救急医療チームやオリンピアンの派遣事業といったスポーツを通じた支援活動について、そして、教育の現場(宮城県亘理町荒浜中学校・三浦秀昭教諭)からは、スポーツでの生徒の活躍そのものが「一筋の光明になった」報告を受けた。また、被災した子どもたちに「あしたひろば」と称して純粋に体を動かすことを楽しめる場を提供できた。これらは、社会の復興や震災前とはかけ離れた"非日常"に直面している人間にとって、スポーツがいかなる価値を持ち、どのような役割を果たすのかという問いかけに対する 答えを見つけようとする取り組みであったと言えるだろう。
 これから、復興への長い道のりが続く。宛先を失ったプレゼントを思いつつ、われわれはスポーツに問い続け、語りかける動きを止めてはならない。

2011年12月7日水曜日

i-SIM News 094/メディアの表象

今日の我々の生活が、さまざまなメディアに囲まれていることはもはや言うまでもない。いや、このような受動的な言い方はすでに時代遅れであろう。むしろ、メディアを駆使し意図的、積極的に情報の受容と発信を行わなければ、情報社会の発展に取り残されてしまう時代、といった表現の方が適切かもしれない。(ISIM研究員 林怡蕿=リン・イーシェン)

そこでメディアを使いこなすリテラシー(教養)能力が重要な課題として浮上する。教育現場にいる我々は、現代社会における必要不可欠な「メディア力」の向上について、知恵を絞って力を注いでいる。ここではメディアとの付き合い方について、メディア表象を読み解くことの重要性を取り上げる。
それは英語の「representation」の訳語であることから分かるように、メディアの「表象」とは、メディアを通して社会が再現され、解釈され、そして意味が再生産されていくことである。そこでメディアの表象でカバーできる範囲は、社会の全貌ではなくあくまで一側面、あるいはほんの一部にすぎないということを自覚し、理解しなければならない。しかし、マスメディアによって伝えられたものは、社会の全貌そのものとして捉えられ、無意識に受け入れられてしまうケースが多々ある。
メディア、とりわけマスメディアは言論の自由という理念を掲げ、中立、客観性、不偏不党の報道という規範的信条をその職業倫理として成り立つ社会システムの一つである。こうした社会的言論機関とも呼ばれるマスメディアを舞台に、映像や活字を通して表現活動を行うのはジャーナリストといった人々である。マスメディアは、上述した規範的信条のほかに、作り手の主観的意識の働きを通して、社会の出来事を取捨選択し報道活動を行っているのである。メディアにおける表象問題を考える際に、まさにこうした主観的、意図的、あるいは無意識的に構成される部分に注目しなければならない。メディアは、なにを、どのように伝えているのか。誰のための報道であり、どのような意味を持ちうるのか。これは受け手である視聴者/読者側が常に意識しなければならない問題である。
メディア表象のなかでもっとも批判されるのは、ステレオタイプ(紋切り型)の再生産である。ある先入観、あるいは言説を繰り返して表象し、強調することによって、それが社会の一般認識、あるいは「常識」として定着してしまうケースは多々ある。マイノリティーの人々に対するレッテル張り、偏見の固定化などが挙げられる。さらに言えば、偏った見方の提示に終わってしまう場合もたくさんある。断っておきたいのは、ここでメディアを悪者として断罪するつもりはない。社会に警鐘を鳴らし、聞こえぬ声を拾い、社会全体で共有すべき問題を積極的に取り上げるジャーナリストの努力も、これまでの多くのメディアの映像を通して確認することができる。しかし、ここで強調したいのは、メディアの表象や言説内容に対して、受け手側のもつべき批判的に読み解く姿勢である。そうなるためには、やはり多くのメディア言説に接触し、異なる立場の意見を取り入れ、複眼的に比較し考える努力が必要とされる。ますます複雑化し、断片化していく情報社会との付き合い方を考える際に、まず自分のメディア表象を読み解く能力に磨きをかけることから出発するのが一つ有効な方法なのかもしれない。

2011年11月17日木曜日

i-SIM News 093/スポーツの様々な見方

 1117日現在、バレーボール WORLD CUP 2011での日本の順位は63敗で4位である。しかし、世界ランキング1位のブラジルをストレートで下し、上位3チームに与えられるロンドンオリンピック出場権を獲得する可能性が残った。この粘り強い、日本の強さの秘密はなんなのだろうか。 ISIM研究員  石丸出穂
 
 昨年の世界バレー(世界選手権大会)で、日本女子バレーボールチームが3位決定戦でアメリカを破り、銅メダルを獲得したのは記憶に新しい。そして現在行われているバレーボール WORLD CUP 2011においても、昨年以上の成績を目指し、日々彼女らは戦っている。
 日本をはじめ、世界のバレーボール界がデータを駆使して闘うようになって久しい。その中でも昨年の世界バレーで日本女子の真鍋監督が、i-Padを使って選手にアドバイスを送っている姿がTVで放送され、一躍その情報戦略活動が注目されるようになった。i-Padに情報を伝達していたのが、アナリスト(情報戦略スタッフ)である。
 アナリストは、自チームの試合中はエンドライン後方のスタッフ席(記録席)と呼ばれる場所で、その試合の情報収集・分析・伝達を行っている。選手がサーブを打つ準備をしているシーンを正面から撮影される場合、画面に映ることがあるので、ぜひそこにも注目していただきたい。自チーム以外の試合では、観客席にあるエンドライン後方に位置する"ビデオ席"で、収集作業を行っている。
 近年、バレーボールでは世界の標準データソフトとして、イタリアで開発された『Data Volley & Video』が使用されている。北京オリンピックでは、男女24チームの参加国中、22ヵ国がこのソフトを使用している。ブラインドタッチで、ボールに接触したプレーはもちろん、それ以外のプレーヤーの動きに関する情報すべてを収集している。たとえば、ホームチームの1番がジャンプサーブを1の位置から9の位置へ打ち、アウェイチームの4番がレセプション(サーブレシーブ)を完璧に返球し、8番がBクイックを9Cの位置に打って、ホームチーム20番がディグ(スパイクレシーブ)をミスしたという場合、「1SQ19.4# a8PB9C.20D=」というコードであらわす。このとき、サーブを表すコードSやアタックを表すコードP(もしくはA)が入力されたときのタイムコードが同時に記録される。入力されたコードは、客観的データとして蓄積され、表や、グラフ、チャートとしてまとめられる。1試合に収集するコードは、フルセットになると1000を超える。
 陰で選手たち支えるアナリスト。バレーボール WORLD CUP 2011を観戦するときには、観客席に注目することも面白さの一つである。

2011年11月2日水曜日

i-SIM News 092/こどもスポーツ大学 in OTOINEPPU 開催!

1029(土)、30(日)の2日間、北海道中川郡音威子府(おといねっぷ)村で1泊2日の「こどもスポーツ大学」が開催されました。対象は、北海道上川5市町村の小学3〜6年生21名。子どもたちは自分で考えて行動することの難しさを体験しながら、それぞれがいま"できないこと"をどう乗り越えるか、スポーツを通じてチャレンジしました。(ISIM研究スタッフ 大町祐太)
 
 今回のこどもスポーツ大学のテーマは"できないこと"は"できるようになる"。それぞれがいま"できないこと"はどんなことだろうか、そして2日間で"できるようになる"ためには何をしなければいけないのかを考えることからプログラムがスタートしました。21人の"大学生"たちは「友達をなるべくたくさん作る」「多くの友達に話かけるようにする」など、それぞれの"できないこと"を発表。2日目の修了式までに目標が達成できるよう、自分自身と約束をしました。
 こどもスポーツ大学では子どもたちは小学生ではなく大学生という設定なので、自分のことは自分でなんとかしなければいけません。時間の使い方から、体調管理まで、先生からの指示はありません。その代わりに、先生方がたくさんのヒントを与えてくれます。「自分の体を整えるためには、どんな食べ物が必要なのか」「スポーツとことばは、実はすごく関係があること」「"できないこと"というのは、本当はすごく良いことであること」など、たくさんのアドバイスがありました。これらを自分の中で「考えて」「整理して」「行動する」ということが小学生と大学生の大きな違いです。
 はじめに自分と約束したことが、2日間で"できるようになった"学生、2日間では"できなかった"学生、もちろん結果はそれぞれでしたが「大切なのは今回できなかったことを、これからも"できるようになる"ために努力すること」であるという先生方からの最後のメッセージ。はじめのときとは比べものにならない程、成長した彼らの顔つきは、今でも脳裏に鮮明に残っています。
 自分ができないこと「Chance(機会)」に「Challenge(挑戦)」して、できるようになる「Change(変化)」ということ。これは21人の子どもたちだけではなく、私たち大人にとっても感慨深いテーマでした。子どもたちが一生懸命変わろうとする姿を見て、むしろ周りにいる大人たちが本気になってしまうところも、こどもスポーツ大学の魅力であると私は感じています。またいつか、熱い気持ちを持った大人たちの中で、より大きくなった"大学生たち"に再会できる日を楽しみにしています。

2011年10月19日水曜日

i-SIM News 091/愛が溢れる、仙台大学大学祭のお知らせ!

10月29(土)、30(日)の2日間、仙台大学で毎年恒例の大学祭が開催されます。今年度のテーマは「〜愛〜 助け愛、支え愛、信じ愛」と"愛"が盛り沢山の、笑顔溢れる大学祭になることを目標に、学友会を中心に準備に励んでいます。(仙台大学大学祭実行委員長 金子優人)

 今年の大学祭は、3月に発生した東日本大震災に負けないぞーと、私たち学友会が元気の源となり、地域の皆さんはじめ来場いただく人たちに元気を分けてあげられればと意気込んでいます。学内には有志学生がたこ焼きや焼きそばなどの屋台を開店、日ごろのアルバイトなどで磨いた腕前を披露します。大型ビジョン前のメインステージでは、ミスコンや歌スタといった様々なイベントを企画しています。そして今年はさらに豪華ゲストとして、歌手のナオト・インティライミさんをお呼びして新装成った第5体育館を舞台として特設ライブを行う予定です!!!先着2,000名となっていますが、費用は無料です。当日は学内のいたるところに募金箱を設置し、集まったお金は大震災の義援金として寄付しようと考えています。みなさんの来学を心よりお待ちしています!

2011年10月5日水曜日

i-SIM News 090/第2回こどもスポーツ大学 in NAGAOKA開催!

 923日(金)から25日(日)、新潟県長岡市で2回目となる「こどもスポーツ大学」が開催されました。今年度は長岡のスポーツをリードする中学生を対象に、様々なスポーツ教育プログラムを実施しました。子どもたちの小さな成長に気づき、喜びを感じさせられるとともに、私たちが学びを与えてもらった三日間となりました。(ISIM 木間奈津子 運営スタッフ)
 
 長岡市体育協会からの受託研究として、「スポーツを学ぶ力・スポーツから学ぶ力・スポーツで学ぶ力」をメーンテーマに「こどもスポーツ大学」を開催しました。長岡市内から9競技39名の中学生男女が参加し、コミュニケーションゲームやタグラグビーを通して、スポーツの楽しさやチームに自ら関わることの大切さ、「自分たちで自分たちを治める(自治)」ということを学びました。また、この大学では仙台大学運動栄養学科の丹野先生(管理栄養士)が宿泊先や業者と何度も話し合い、栄養バランスを考えた食事を提供しました。食育プログラムでは、成長期を迎えた中学生一人ひとりが自分に必要な栄養の採り方やバランスを意識することの大切さも学びました。
 
 こどもスポーツ大学では日頃あまり体験しないことにたくさんチャレンジします。
どんなに頑張っても試合に勝つことができなかったキャプテンがいます。敗因は彼にはわかっていました。「もっと前に走って!」「声だして!」懸命な呼びかけに苛立ちが表れます。試合終了。彼の努力は実りませんでした。曇ったままのこころを抱えて、彼は修了式を迎えました。しかし、各チームから選ばれるMVP(優秀選手)としてコーチから彼の名前が呼ばれます。試合中の頑張りと最後まであきらめなかった姿勢を賞賛された途端、強ばった表情がしだいに照れに変わり、大きな拍手の中、彼は堂々とそこに立ちました。
 
 この三日間、思い通りにいかないことはたくさんあったと思います。それは地域のクラブや学校、家庭でも同じです。思い通りにいかないとき、そのことに自分がどう向き合うか。参加した39人の中学生は自身のなかにある「新しい自分」にエールを送ることができたのではないでしょうか。
子どもたち一人ひとりの種が長岡という熱い大人たちの耕す「地域の土」で育っていくことを祈っています。

2011年9月21日水曜日

i-SIM News 089/第4回国際スポーツ情報カンファレンスの報告

 第4回国際スポーツ情報カンファレンスが9月11日(日)、仙台大学を会場にして開かれました。今回のテーマは「大震災 スポーツの明日を考える」。カンファレンスはF棟101教室で、第4体育館では宮城、岩手それに山形から子どもたちに集まってもらい「あしたひろば」が開かれました。(ISIM齋藤研究員)

 県内、県外で教育やスポーツなどに関わっている人たちが参加したカンファレンスは公益財団法人日本オリンピック委員会の平眞事務局長が「東日本大震災後/これからの取り組み」と題したオープニングセッションで始まりました。このなかで大震災後、JOCは初めて、救援医療チームを被災地岩手県大船渡市に派遣したこと、救援物資として1万点以上の衣類などを送ったこと、避難所へオリンピアンを派遣したことーなどこれまで行ってきた支援活動を報告しました。また、今後、被災地で「ミニオリンピック事業」を展開、第1回は10月10日(体育の日)に仙台市の陸上競技場で「ミニオリンピックin 仙台」を開催し、被災地の子どもたちに対して支援活動を行っていくことを明らかにしました。
 続いて「メディアから見た『震災』と『スポーツ』(仙台大学・齋藤)、(財)日本卓球協会常務理事・強化本部長の星野一朗氏が「競技団体からみた『震災』と『スポーツ』」、宮城県亘理町荒浜中学校教諭の三浦秀昭氏が「教育現場からみた『震災』と『スポーツ』」と題して情報提供を行いました。このなかで星野氏は競技団体として模索した長期的な支援策や義捐金の募集、送金、卓球台140台を被災地に送ったことなど震災復興活動を報告しました。続いて三浦氏は学校が津波で現在も使用できない荒浜中学校の現状を震災が起こった3月11日から時系列で被災状況を報告しました。それによりますと3月11日は卒業式があり生徒は下校し職員だけが在校していたこと、地震の後、地域の人たち約500人が荒浜中に避難してきたこと、そして巨大津波が襲来。ようやく自衛隊のヘリで屋上から救出されたのは2日後のことだったということです。また、職員室も津波に襲われ、顧問をしているソフトボール部のスコアブックなどのパソコンデータもすべて失いました。自身も自宅が津波被害を受け、現在も名取市内にアパートを借りて家族で暮らしているということです。そうしたなか、中学校は同じ町内の中学校の一角を借りて授業や部活をしていますが、危うく中止になりそうだった中総体でソフトボール部やソフトテニス部などの部活が大活躍してくれたことは、先の見えない絶望的な状況の中で「スポーツの力」によって一筋の光明が見えたという話をしてくれました。三浦先生の生々しい体験に会場に集まった人たちも真剣に聞き入っていました。
 昼食・休憩を挟んで午後のプログラムが始まりました。カンファレンスの参加者はまず、第4体育館で行われている「あしたひろば」を見学しました。「あしたひろば」には地元宮城県から19人、岩手県から5人、山形県から6人のあわせて30人の子どもたちと石川県加賀市の石川県大聖寺高校の高校生3人、それに仙台大学の学生が参加しました。午後からは研究所の教職員の指導の下、子どもたちは1チーム6人にわかれ、5つのゲームを体と頭を使って思いっきり楽しみました。研究所がタレント発掘事業で培ってきたプログラムのなかでも盛り上がったのは、バトン大の円筒を半分に割った筒状のものを持ってピンポン玉を落とさないように10メートルほどを折り返しながら移動するというゲーム。失敗するたびに元に戻らなければならず、体育館中、子どもの元気な声が響き渡っていました。すべてのゲームがコミュニケーションを取らなければ成功しないというゲームになっており、子どもたちは心を一つにして遊びを楽しんでいるのが参加者にもわかりました。
 午後のカンファレンスは研究所の阿部篤志研究員の「子どもたちがスポーツを通して大震災を乗り越えるために」という情報提供で再開しました。阿部研究員は自身も参加してきた「第1回ユースオリンピック」などの体験を踏まえ、スポーツと文化教育プログラムを結びつけた活動の重要性を指摘した上で今後、仙台大学は被災地にある大学として被災地からのニーズになっていないニーズを拾い上げ、それを競技団体やスポーツ施設、専門家などと結び付ける「スポーツ&ヘルスコンシェルジュプロジェクト構想」の中核を担っていかなければならないーと提言しました。
 カンファレンスの締めくくりは「未来の担い手、子どもたちのあしたを考える」というシンポジウムでした。コーディネーターは仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の山内亨所長で、パネリストは(財)日本卓球協会常務理事・強化本部長の星野一朗氏、宮城県亘理町立荒浜中学校教諭の三浦秀昭氏と仙台大学の中房敏朗教授の3人です。このなかで、支援を行う側と支援を受ける側の温度差が大震災直後と現在とではかなり大きくなってきたのではないかという問題が話し合われました。非常事態という非日常を日常に戻すためにはどういった支援を行っていくべきかを悩む中央の競技団体と、「支援慣れ」してきた支援を受ける側という構図ができてきたことが浮き彫りになりました。
中房教授は最近デジカメで撮影してきた被災地の現状を紹介し、未だ復旧には程遠い現状を説明。そこに原発事故による放射性物質に怯えるという目に見えぬ恐怖が加わってきた、と指摘。こうした状況下で体育大学が何をなすべきかについて、学生に「人間力」と「社会力」を涵養し「スポーツ市民」として社会に送り出してやるという地道な教育ではないかとまとめました。
 続いて、話し合いを聞いていた三浦秀昭氏からは「実は先ほどまで暗澹たる気持ちで何もする気が起こらなかったが、今日のカンファレンスに参加して少し気持ちが変わってきた。これまで非常時に人と人が争うスポーツなんてと思っていたが、いま思い出したことがある。それは部活のソフトボールがとても苦手だった部員に中総体後、『先生、やってきてよかった』と言われたことだ。自分も仙台大学を卒業して長いこと体育教師をしてきたが最近はスポーツのことなど考えることも無かった。だがもう一度、スポーツの良さや力を改めて考えてみようと思った」と語り、被災した教育現場の最前線に立っている人だけにしかできない発言に出席者も熱心に耳を傾けていました。
このあと、研究所の粟木一博副所長が「あしたひろば」に参加した子どもたちが書いてくれた短冊で作った大きな木の絵を紹介、子どもたちが今日一日、十分に楽しんでくれたとあいさつ。
 最後に会場では仙台大学の女子バレーボール部が南相馬市の体育館で子どもたちにバレーボールを指導しているビデオが流されました。その中で、子どもたちがいま思っていること、したいことをカメラに向かって思い思いに話をしてくれました。多くの子どもたちの発言は特別なことではなく当たり前のことを当たり前にできるようになりたいのだ、というものでした。
 これを受けてコーディネーターの山内所長が「この子どもたちをはじめ、福島の子どもたちにはきょうの催しに参加してほしかったが、叶わなかった。福島の子どもたちには各方面からの呼びかけは数々あるが、被災地側は手一杯で移動やケアなどすべて呼ぶほうでやってもらうということでなければ子どもたちは預けられない、ということだった。震災後半年たって被災地、被災者のニーズは多様化している。それに対して支援する側は十分に対応できていないのではないか」と説明。最後に南相馬市の関係者が「被災地を支援したいという社会貢献のオリンピックが始まったようだ」という被災地からのシニカルとも思えるような声を紹介、現在行われている中央などからの支援のあり方を見直し、あくまでも被災地の現状に合わせた支援を行うべきだとまとめ、カンファレンスを閉会しました。

2011年9月7日水曜日

i-SIM News 088/東日本大震災から半年

1万人以上の命をのみ込んだ東日本大震災から半年になろうとしている。この間、スポーツ界からも様々な支援や協力が行われ、被災地にスポーツを通した想いが届いている。
スポーツに関わるものとして、いつもスポーツの価値について考えているが、大震災で一層スポーツが持つ力について考えることが増えた。この半年間、時間の重さと経過を感じながら、私が経験し、感じた阪神淡路の震災を思い出した。(ISIM 藤本研究員)
阪神大震災時に高校生だった自分には、悲惨な状況下で「スポーツでできること」という発想は皆無だった。ただただ自分ができることをひたすら考え、無い知恵を搾り出していた。その時、あるニュースで、ビルの倒壊、瓦礫の散乱、移動ルートの寸断等が目に飛び込んだ。「バイクや車は道路が寸断され移動が困難」というアナウンサーの言葉が映像と共に流れた。映し出された映像に自転車で移動する被災者の姿があった。ふと、移動は自転車が有効になるだろうな・・・と思ったことを契機に、単純に「チャリンコを直しに行こう」と思ったのを覚えている。
修理やメンテナンスは、自転車競技の選手として欠かせない能力の一つでもあるが、自転車競技をする前から、私は物(主に機械類)の構造に興味があり、触ったり、バラしたりと、とにかく触るのが好きだったこともあり、自転車は恰好の対象でもあった。
現地では、"誰かが使うかもしれない""使った人が、あって良かったと思ってくれれば"の想いや、"こんなことをしても、誰が使うのか""もしかすると使われずにゴミと化すかもしれない"—。こんな自分の心の葛藤を押さえつつ、自転車を直すために、焼け焦げたもの、瓦礫の中に埋もれ潰れて変形してしまっているもの、こんな状態から少しでも使える部品を集めて修理していた。時には10台分の部品をかき集めて、1台を"再生"することもあった。
また、その場の惨状を目の前にしながら、"自分のすべきことをする"意志みたいな精神力を維持しなければならなかったが、私は、とにかく"目の前にある現実に対して自分ができることを"の一心で、黙々と自転車を直し続けた。
高校生だった自分にできることのあまりの少なさに、情けなさを感じながら、辺りに転がっていたダンボールの切れ端に"使ってください"とマジックで殴り書きし、次の自転車を復活させようと移動した。
個人では無力ではないにせよ、できる規模が小さい。今思えばこのとき"繋がり"があれば、自転車を本当に必要としているところに行き、直すことをやっていれば、もっと有効だったのではないかと思うこともある。
今回の震災は阪神淡路と単純に比べることができないが、人と人との繋がりや絆を復興テーマに掲げているのを多く目にする。阪神淡路の時は野球がいち早く反応し、メッセージを発信していたのも記憶している。今回はサッカー界の対応が素早かった。
スポーツは、そのパフォーマンスを見せることで想いは届けられる。スポーツイベント等でも即効性のあるものも提供できるが、数年、十数年にわたる継続力のある活動になりうるのだろうか。大多数が一過性のものに過ぎないように思う。スポーツが今できることを考える上で、そのネットワークを活かした活動がヒントを与えてくれると感じるが、そこには復興に向けた長いスパンの継続力・持続力のあるつながりが必要であり、そこに関わるすべての人の覚悟と決断が必要ではないかと、今改めて感じる。

2011年8月23日火曜日

【ご案内】第4回国際スポーツ情報カンファレンス 〜大震災 スポーツの明日を考える〜

i-SIM Newsをご愛読していただいている皆様

平素より本研究所の活動にご協力を賜り、誠にありがとうございます。

来る9月11日(日)、毎年恒例となっております国際スポーツ情報カンファレンス(仙台大学主催・研究所主管)を開催することが決定しましたので、ご案内致します。

日時:9月11日(日)10:00〜16:30(受付9:00〜)
場所:仙台大学(宮城県柴田郡船岡南2−2−18) F棟101教室
テーマ:〜大震災 スポーツの明日を考える〜

参加をご希望される方はメールにてお申し込みください。

締切は9月2日(金)とさせていただきます。
ご多忙のことと推察いたしますが、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)

2011年8月18日木曜日

i-SIM News 087/インターンシップを終えて

こんにちは。私は6月中旬からお盆前まで、仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所でインターンシップ生としての2ヶ月間働かせていただきました。私を暖かく受け入れてくださった研究所の方々のおかげで、日米大学の相違点に気付くなど、貴重な体験をすることができました。(アメリカ・モンタナ大学4年 齋藤智子)
はじめは、インターンシップ生として実務に携わることはあまりできないのでは、と考えていました。しかし、インターンシップ初日からその予想は良い意味で裏切られ、ミーティングはもちろん、研究所での様々な業務をスタッフの一員として取り組むことができました。
研究所では、主にミーティングや簡単なルーティンワークに参加していましたが、7月下旬には岩手でのタレント発掘・育成事業に参加させていただきました。前日のミーティングを終えて、当日は見学及び研究スタッフのサポートをする予定でした。しかし状況が一変し、急遽私自身が子どもたちにレクチャーをすることになったのです。何をどう教えていいものかと悩みましたが、研究員の方々からの助言もあり、当日のプランを作成することができました。
 岩手県のタレント発掘(いわてスーパーキッズ)は、小学6年生と中学1年生を対象にプログラムが実施されています。そこで驚いたことは、スーパーキッズたちの姿勢です。まっ先にゲームに取りかかる子、周囲の意見を聞いてまとめる子、的確に間違いを指摘する子など、千差万別でした。彼ら一人一人にとって「自分を知る」良い機会になったのではないかと思います。また中学1年生のプログラム中、英語を取り入れた簡単なゲームでは、自分の持っている力を一生懸命発揮して問題に取り組む姿が印象的でした。質問についても恥ずかしがることなく、堂々として、時には子どもらしい可愛い失敗もしていました。
インターンシップの体験を通じて、子どもに何かを教える楽しさとともに、私自身が成長できる良い機会になったと考えております。今回はタレント発掘について取り上げましたが、その他にもおかげさまプロジェクトのような人と人とのつながりを再確認できる、とても意味のあるプロジェクトにも参加できました。人とのつながりを大切にする研究員の先生方に支えられ、今回のインターンシップが素晴らしい経験になりました。

2011年8月3日水曜日

i-SIM News 086/ メディアが伝えられる限界とは?

こんにちは。私はスポーツ情報マスメディア研究所の非常勤研究員としてアカデミー(学科の有志)で映像・音響を指導しています。同時に現在は、障害者と震災を軸にした映画制作に取り組み、東北各県の被災地に行き撮影を行っています。自分が目にし、耳にした事をどうしたら多くの人に伝えられるのか日々悩んでいます。(映像アカデミー担当 小野寺努)

映像で何が伝えられるのか?それは今回の大震災を伝える事に限らず、メディアにとって永遠のテーマです。

震災とは別な話のようですが、私は長年「なでしこリーグ」の試合やチームの取材、「なでしこジャパン」のキャンプの取材などを行ってきました。現在はワールドカップで優勝したことにより注目されていますが、女子サッカーリーグや女子選手における環境の悪さに驚きました。澤選手もそうですが、取材をする各メディアの人間全てが、女子サッカーがもっと注目され、観客動員数の増加を願い、女子サッカーの良さを伝えようとしていました。しかし、全国にネット局を持つテレビで紹介される事は少なく、チームを持つ地元メディアで簡単に紹介されれば、まだましだという状況でした。メダル獲得という事が無ければ、今年もまた「なでしこジャパン」はそんなに大きく取り上げられる事はなかったのではないかと思います。

メディアは日々何を伝えられるのか?「なでしこジャパン」のケースや「震災」を伝える事を挙げても悩みは同じです。一過性の要素は全ての取材対象に存在すると考えられます。だからこそ日々悩むのです。
永久的に伝え続ける事ができるのか?現場で起きている事の「何」を伝えるのか?解決のできない永遠のテーマかもしれません。
そこで私は映画という残る形として制作し、表現し、伝え残す道を歩んでいます。全てを伝えきれなくとも、形を残す事が私にできる精一杯の自分の力だと思っています。
もしかしたら、今回の震災を映像で伝える事は、メディアができるボランティア活動かもしれません。

メディアを目指す人、興味のある人。将来にわたり、共に悩んでみませんか?

2011年7月21日木曜日

【ご案内】日本スポーツ法学会 ~東日本大震災とスポーツを考える~

i-SIM Newsを御愛読していただいている皆様
平素より本研究所の活動にご協力を賜り、誠にありがとうございます。
 
来る7月24日(日)、本学を会場に下記のとおり、学会の開催が決定しましたのでご案内致します。
 
日時:7月24日(日)13時から16時
場所:仙台大学第5体育館2F
テーマ:「東日本大震災とスポーツを考える」

日本スポーツ法学会からは「震災後がプロスポーツに与えた影響と法的問題」や「スポーツ振興法と基本法の比較からみえるスポーツの意義」など、本学からは、県教育庁の土生(はぶ)氏による「県内スポーツの現状」や、震災直後から本学の災害派遣チームとして被災地や避難所を訪れている本学教員による「スポーツに関わるニーズや潜在的課題」などの情報を共有し、これからのスポーツのあり方や果たすべき役割について考えます。
申し込み不要で、無料です。

詳しくは、下記URLをご覧ください。
http://www.sendaidaigaku.jp/new_topics/index.php?id=773&mode=style1

2011年7月19日火曜日

i-SIM News085/「TEAM宮城」実践的な情報支援活動


こんにちは。スポーツ情報マスメディア(SIM)学科では、3年になるとスポーツ情報戦略論演習2の授業が行われます。この中で私たち有志は「TEAM宮城」という情報支援プロジェクトを立ち上げ、実践的な活動を多角的に展開しています。(SIM学科3年 伊藤ありさ)

「TEAM宮城」は宮城県の高校スポーツ(選手はもちろん関係者全て)がより活性化するよう、宮城県高等学校体育連盟の協力を得て活動をしています。活動を始める前に綿密な打ち合わせを行い、宮城県の高校スポーツ界の実態や課題を教えていただきました。今年は東日本大震災に見舞われ、多くの面で影響が出ているというお話もありました。また宮城県では「BUKATSU2011」という、運動、文化部を問わず部活に参加するよう呼びかけを行っている全国的にもユニークな取り組みがあることを教えていただきました。多くの高校生が部活に参加することによって運動部では選手層が厚くなり、競技力向上に繋がるのではないかと考えています。そうしたことからBUKATSU2011も視野に入れ、現時点では宮城県高等学校総合体育大会(以下、県高総体)の試合と選手・監督のインタビュー撮影を実施しました。また、ニュースレターの配布、文化部の活動の様子も撮影しました。ニュースレターは6月4・5日に開催された県高総体の初日に、保護者の方から多く得られた“選手の食事を気をつけている”という情報から、栄養やレシピの例を載せることに決め、2日目に配布しました。そのほか運動部の競技力向上を目指し、様々な情報を集めているところです。
これまで撮影した映像や集めた情報はBUKATSU2011グループと競技力向上グループに分かれて、まとめています。BUKATSU2011グループでは部活に入って頑張りたいと感じていただけるような映像を作成し、競技力向上グループでは宮城県の高校スポーツが活発になるために役立つような情報を提供できればと考えています。

2011年7月6日水曜日

i-SIM News084/準備大詰め!学科一日体験会

  東日本大震災で授業開始が1カ月遅れたためか、あっという間に暑い夏がやってきました。大学は例年、夏の声を聞くと来年の新入生を迎える準備に入ります。7月9日(土)、10日(日)は学科一日体験会が開かれます。受験生にしっかりと大学・学科を知ってもらうのが狙いです。(山内亨スポーツ情報マスメディア学科長・研究所長)
http://isim-suni.blogspot.com/

仙台大学の学科一日体験会は毎年暑い夏がやってくる直前に開かれます。大学数の増加と少子化の影響で、一部の大学を除き進学希望者の全入時代を迎えたといわれています。仙台大学は定員を割る事態にはなっていませんが、安易に受験し入学し、「こんなはずじゃなかった」と進路変更を求める学生が毎年数人います。
大学の内容をよく知ってもらうと同時に、ミスマッチから進路変更などの事態を避けたいと企画されたのが「学科一日体験会」です。各学科は普段の授業を見てもらうと共に学科の魅力を知ってもらおうと工夫を凝らしています。

 スポーツ情報マスメディア学科は体育学科、現代武道学科と9日に開催します。
3学科合同で受講者を迎えた後、各学科の在校生が仙台大学の魅力を説明します。学生はこれまで4年間で培った力を発揮しようと汗を拭き拭き撮影と編集に飛び回っています。
バレーボールの情報分析活動に耳を傾ける高校生たち
1限目の「コミュニケーションスキル体験」と「情報とは」の講義の後は、4人の先生が「競技力向上のための戦略映像」「テレビ番組ができるまで」「国際競技力向上と情報戦略」「ジャーナリズムの世界を知る」と普段大学で行っている内容を分かり易く紹介する授業を準備しています。
在学生が関わる「学科一日体験会」の役割がもうひとつあります。1日の締めくくりで見せる「振り返り」VTR制作です。各学科からイベント内容を細かく撮影し紹介して欲しいと要望が来ています。とは言え、3分から5分で全てを見せるのは難しく、終了間際の授業を短時間でどのように撮影し編集しようかと打ち合わせを繰り返しています。
プロの世界ならば再生機を複数準備して、ロール分け編集・ロール出しをします。
映像編集チームのミーティング風景
確実に編集が出来る時間までの部分とギリギリになる部分を分けて編集し、完成している部分が流されている最中に後半部分を持ち込んで紹介する「追っかけ放送」スタイルも可能です。さらに時間が無ければノー編集ラッシュ出しもあります。このためには取材対象をあたかも編集したようにカットを吟味して撮影する必要があります。いずれにしてもどんな撮影方法、編集方法が最も上手くいくか最終打ち合わせ中です。
他学科の期待に答え、どんな映像紹介が出来るか楽しみです。そして「学科一日体験会」に参加した受講生が1人でも多く仙台大学に入学してくれることを望みます。

2011年6月16日木曜日

i-SIM News083/情報戦略「知の集約と発信」拠点、いよいよ始動=ISIM情報センター


 仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)は20116月、スポーツ情報戦略に関わるハブ拠点「スポーツ情報戦略研究センター」を開設した。学内外で行われる情報戦略活動の実践者が集い、知識や経験を共有する。また学生は情報戦略の「実務と実践」に触れて学ぶ。その真のねらいとは。(ISIM 阿部研究員)

 ISIMスポーツ情報戦略研究センター(ISIM Sport Intelligence and Technical Research Center)を統括する阿部篤志講師に聞く。

◯ 情報センターを立ち上げたねらいは?
 「情報センターの目的は3つあります。一つは、学科・研究所を立ち上げてから展開されてきた学内外での様々な情報戦略活動を一元化するための「拠点」を設けること。二つ目は、明確な拠点を示すことで情報戦略活動に関わる人の「ネットワーク化」を図ること。三つ目は、学内外における情報戦略に関わる人の繋がりと出入りを通じて情報戦略に関する「知見の集約と発信」を図ることにあります。
 これらを実現することは、仙台大学における情報戦略領域の教育・研究活動の質を高める上で不可欠なことであり、ISIMの創成期であるこれまでの3年間における、情報戦略に関わる様々な挑戦を整理し体系化していく「発展期」へと移行する必要がありました。そのことが、情報戦略研究領域における相互協力協定※を締結しているJISSをはじめとする、学外関連団体との連携を、双方にとってより有益なものへと導くことができると考えるからです。」

◯ どのような取り組みを考えていますか?
 「本年度の情報センターは『支援プログラム(Support and Consulting Program)』と『アカデミープログラム(Academy Program)』の二つの柱で運営する予定です。
 支援プログラムは、学内であれば部活動、学外であれば地域のスポーツ団体などとの連携により、実際の情報戦略支援活動に関わります。『情報戦略支援』という言葉は馴染みがないかと思いますが、簡単に言うと、スポーツに関わるチーム(選手)や組織の目的や目標を達成するための営みに「役に立つ」情報を提供する活動です。映像を撮影してゲーム分析やパフォーマンス分析を支援することもあれば、チームの活動を戦略的に伝えるためのDVDを作成することもあります。ミーティングや会議で配布する効果的な文書(資料)を作成することも情報戦略支援活動の一つです。いずれも大事なことは、目的達成に向けて期待される変化(Effect)を理解し、その変化を生み出すために鍵となるメッセージ(Message)を信頼のおける情報源(Source)から収集した情報内容(Content)を用いて、対象となる人(Target)に効果的に伝達(Operation)していくことにあります。
 その一連の活動で生み出された付加価値のある情報(Intelligence)は、様々なスポーツ活動を進めていく意志決定者の判断と決断を支えます。情報を有効に活用してもらうためには、情報戦略活動を必要とする方々との信頼関係を築くことが不可欠です。私たちは学生が一連の取り組みの中で、そのようなことも含めて、スポーツの価値を認め、情報を正確かつ適切に扱い、問題解決を支えることのできる人へと成長してほしいと願いつつ、プログラムを計画しています。
 アカデミープログラムは、その実践をより質の高いものへと変化させていくための場として、以下のような枠組みでの運営を予定しています。

アカデミープログラムの枠組みと内容(一部計画案)
プロジェクト
内容
情報戦略事例検討会
学内外の様々な枠組み(例えば地域タレント発掘・育成やJISSJOCでの実地研修、部活動など)において行っている情報戦略活動を報告・共有する場とする。学外関係者を招聘した事例紹介も含む
競技間連携情報戦略フォーラム
指導者が集まり、競技力向上において情報をどのような視点や方法で扱っているかを一堂に会す形で共有し、競技を越えたディスカッションを試みる
映像活用ワークショップ
情報戦略活動において一つの活動領域としてニーズが増大している「(競技)映像の活用」に焦点をあてた勉強会とする。
情報(IT)リテラシー向上セミナー
昨年度までの3ヵ年で実施された「情報(IT)リテラシー教育手法の検討」の成果を生かし、仕事を効果的に進める上で必要なスキルの一つとして重要な「情報技術(IT)」に焦点をあてたセミナーを全学公開(オープン)で開催する。この取り組みに対しては、学内からの要望も多く寄せられている
学外連携アカデミー
ISIMとして従来から取り組んできた学外への学生派遣による実践的な教育活動を継続しつつ、同様の活動への参画に高い意志を持つ、より多くの学生に対し、分かりやすく機会が開かれるように調整する機能を果たす

◯ ここで学ぶ学生に向けて一言
 「情報センターは、学生の皆さんがチームとして互いに出会い、学び合い、高まり合うための『場』として用意されました。現在、大学で学ぶ皆さんはもちろんのこと、これから大学進学を目指して勉強をしている高校生の皆さんにも、新しい可能性に挑戦し世界を広げてもらう『場』として、ここを目指してもらいたいと考えています。」

 ISIMスポーツ情報戦略研究センターについての詳しい内容は、スポーツ情報マスメディア研究所(TEL 0224-55-1045/担当:稲福)までお問い合わせ下さい。

※仙台大学とJISSとの「スポーツ情報研究に対する連携協力に関する協定」
 国立スポーツ科学センター(JISS)と仙台大学は200710月、「スポーツ情報研究に対する連携協力に関する協定」を締結し、「スポーツ情報戦略に関わる共同研究やインターンシップの実施等の業務提携・人的交流を通じ、わが国のスポーツ情報分野の発展と次世代に向けた人材育成を図る」ことを目的としました。
 この連携で目指してきたことについては「JISS-仙台大・スポーツ情報戦略連携の可能性~仙台大スポーツ情報マスメディア研究所設立の背景と期待~」(20071219日)に詳しく記されていますのでご覧ください。
http://naash.go.jp/jiss/Portals/0/column/action_54.html


 国立スポーツ科学センターと情報戦略研究で連携(2007年)
~JISSとの提携は私立大学では初~
http://www.sendaidaigaku.jp/new_topics/index.php?id=28&mode=style1 

2011年6月1日水曜日

i-SIM News082/わか杉っ子に新たな顔ぶれ

 5月28日(土)、AKITAスーパーわか杉っ子発掘プロジェクト二期生認定証交付式が挙行された。これでわか杉っ子は一期生5名に加え、二期生4名が新たな仲間となる。式終了後、スポーツ教育プログラム、保護者プログラム、フェンシングプログラムが実施された。(ISIM 粟木一博副所長)
http://isim-suni.blogspot.com/


28日(土)に秋田県スポーツ科学センターで、AKITAスーパーわか杉っ子発掘プロジェクト二期生に対する認定証交付式が行われた。応募者29名の中から選ばれた新たなタレントは成田琉夏(秋田市立大住小5年)、宮崎泰我(男鹿市立船川第一小5年)、酒井さゆり(男鹿市立船川第一小4年)、土佐千乃(秋田市立仁井田小4年)の4名。これでわか杉っ子は前年度選ばれた一期生と合わせて9名になった。
4名はそれぞれ名前を呼ばれると大きな声で元気に返事をして大石勤秋田県企画振興部部長から認定証を手渡された。その後、瀬田川栄一秋田県フェンシング協会会長・県議会議員からの「着実な一歩が尊い」という趣旨の言葉に、子どもたちは真剣なまなざしで耳を傾けていた。一期生の田村涼華(能代市立二ツ井小6年)からは「皆さんを歓迎します。一緒に力を合わせて頑張っていきましょう」とエールが送られた。これに対し、二期生一人一人から「強い気持ちでオリンピックを目指していきたい」と力強い決意表明がなされた。
次に子どもたちはスポーツ教育プログラムの課題に臨んだ。今日の課題は板に打ち付けられた釘の頭に10本の釘を乗せるというもので、かなりの集中力が必要とされる。ただ、今回のプログラムは集中力や根気強く考える力を試すことにもまして、出会った9人の仲間が円滑にコミュニケーションをとれる場を提供することが大きな目的。全員が笑顔で仲良く課題に取り組んでいる姿が印象的だった。保護者たちは別の研修室において、スポーツ教育プログラムやタレント発掘育成事業が目指すことについての説明を聞いた。ここではスポーツの強化が特定の人材に対して行われる時代から、国などからの大きなサポートのもと、タレント発掘育成事業型の時代へと推移しつつあること、そこに参加する子どもたちへの最初のそして最大の支援者は家庭であることが強調された。、合宿研修を含む年数回のプログラムの展開が予定されており、前向きに積極的な態度でプログラムに取り組むわか杉っ子たちに関係者から大きな期待が寄せられている。
      

 今後ご意見ご感想はこちらまでお願い致します。(isim2008@scn.ac.jp)

i-SIM Newsリニューアルのお知らせ

 i-SIM Newsをご覧の皆様の周りで地震津波の被害はありませんでしたか?被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げます。
 さて、中断していたi-SIM Newsをリニューアルし再開します。新しくなったi-SIM Newsでは、記事の見出しと概要を携帯メールにお送りします。さらに詳しい内容を知りたい方は、研究所のホームページ(http://isim-suni.blogspot.com/)にアクセスして全文を読んでいただくことも可能です。
 携帯メールで詳しくお伝えできなかった研究所活動やお知らせを、画像などを交えて毎月第1、第3水曜日にお届けします。

スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)所長・山内 亨

2011年4月1日金曜日

皆様へのお礼とご連絡


関係各位

平素より本研究所の活動にご協力を賜り、誠にありがとうございます。

このたびの震災では、関係各所の皆様に多大なるご心配をお掛けしております。被災後、皆様からあたたかいお声がけやご支援をいただきながら、まだ十分ではありませんが、少しずつ研究所の業務を再開しております。

この大きな試練は、日頃、私どもが大切にしようと努めております、ひと、地域のネットワークから学ばせて頂くことの多さを再認識させてくれました。皆様からの励ましの数々に強く支えられてスタッフ一同、一日も早い復旧に向け、努力致す所存です。

今後とも、ご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。


平成23年3月31日

仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所 一同

2011年3月7日月曜日

i-SIM News081/高校を旅立つ皆さんへ2

こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の宮本です。3月は新たなステージに向け、期待と不安が入り混じる時ですね。先週は仙台大学の先生方からのメッセージをお送りいたしましたが、今回は本年度からISIMのスタッフになり、新たな環境で様々な経験をしてきたISIMスタッフの皆さんからメッセージをお届けします。

◆高校を旅立つ皆さんへ
「ご卒業おめでとうございます。皆さんのなかには故郷を離れる方も多いのではないかと思います。皆さんが育ってきた地域、お世話になった愛すべき地元で再びスポーツをする機会があるとしたら、どんな時でしょうか? 地区の運動会などのスポーツイベント、もしかしたら同窓会という方もいるかもしれません。指導者として地域に貢献している人もいるでしょう。"育ってきた地域"でまたスポーツに夢中になれる日がきたら、とっても幸せだと思います」(木間 奈津子:ISIM運営スタッフ)

「これから次の道へと進み、いろいろな壁にぶつかると思います。そんな時に皆さんが壁を乗り越えられるように、この言葉を送ります。
"The possibility is always there, unless you give up."
(あなたがあきらめない限り、可能性が消えてなくなることはない)」(稲福 貴史:ISIM研究スタッフ)

「大学は未知の世界です。これまで見たことがないこと、経験したことのないことがたくさんあります。しかし何も恐れることはありません。すべては自分のためにあるチャンスだと思ってください。自分の知らない新たな世界へ一歩踏み出してみてください。きっと自分の成長できるチャンスがあると思います」(大町 祐太:ISIM研究スタッフ)

<編集後記>
いかがでしたか。2週にわたり高校を旅立つ皆さんへメッセージをお送りいたしました。私も地元の北海道から仙台大学へ進学する時は不安を感じていました。しかし、大学で出会った友人と野球チームを作ったところ、仲間が増え、楽しく充実した毎日を送ることができました。新たな環境で生活する時には、"スポーツを通しての友達つくり"も大切な第1歩かもしれませんね。(宮本)

2011年2月28日月曜日

i-SIM News080 高校を旅立つ皆さんへ

こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の木間です。本年度も残り1ヶ月となりました。さて今日は、スポーツ情報マスメディア学科や本研究所で一緒に活動している先生方からのメッセージをお届けします。
◆高校を旅立つ皆さんへ
「大学というところは自由に知識を求め、考え、そして新たなものを創り出していく場所です。そして、なによりも重要なのは、自分自身を再発見する場所です。新たな人生のステップ、ワクワク・ドキドキしながら思う存分に探検して下さい」(リン・イーシェン  専門領域:ジャーナリズム、マスメディア)
「我が愛するギャンブラーが名言を遺しました。'人生、7勝8敗が理想' だと。人間っていうのは、ちょっと負け越すぐらいが最高の生き方ではないかというのです。肩の力を抜いて、これからいろいろあるであろう'勝負'に臨んでいって下さい」(齋藤博 専門領域:スポーツとマスメディア)
「'自律と自立'、反対語は何でしょうか? 自律の反対語は他律。自立の反対語は依存。子どもの行動原理は実は'他律'と'依存'です。では大人は? そう「自立」と「自律」を原理にできる人です。大学生は大人の入り口。親や友達に頼らず「自立」して、誰かの指示や命令ではなく、自分が決めたルールに従って「自律」的に動く。あなたはできますか? これから生活だけではなく、勉強の面でも「大人」 ( 自立・自律)になれるようにして下さい」(中房敏朗 専門領域:スポーツ史)
<編集後記>
3名の先生からのメッセージはいかがでしたでしょうか? 卒業式を直前に不安でいっぱいな高校生の皆さんに勇気を与えてくれるメッセージでしたね。私は仙台大学に入学して1年後にアルバイト代の貯金を使い、オーストラリアへ短期留学しました。言葉がうまく通じない2ヶ月間でしたが楽しくて仕方ありませんでした。私にとって人生で初めて自分の意思で決断して、実行した貴重な経験です。そんな経験ができたのは、この大学の先生との出会いがきっかけでした。大学には予想もしていないチャンスがきっとあるのだと思います。
isim2008@scn.ac.jp(木間)

2011年2月21日月曜日

i-SIM News079/「教えて!先生」〈11〉太田四郎先生/ スポーツ情報マスメディア学科で教員を目指す皆さんに

こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の稲福です。立春を過ぎ、暦の上では春を迎えたものの、まだまだ寒い日が続いています。
皆さん、いかがお過ごしですか。本日のi-SIM Newsは、今回でシリーズ最終回となる「教えて!先生」をお送りします。
今回登場していただくのは、仙台大学教授の太田四郎(おおた・しろう)先生で、教員を目指す皆さんへのメッセージです。
◆スポーツ情報マスメディア学科で教員を目指す皆さんに
i-SIM Newsをご覧の皆様、こんにちは! 私は太田と申します。よろしくお願い致します。
私は、教員を目指す皆さんの教員免許状取得のための授業を担当しています。本学科では、中・高の保健体育の教員免許状が取得できます。
そのための授業科目の一端を紹介させて頂きます。まず、1年目には必修科目「教職論A」(2単位)があります。この科目は、教員になるための学習の流れ、教員に求められる資質・力量、教員採用試験、教員免許法、教育基本法を始めとする関連法令、教員の仕事、理想の教師像など教職に必要な基本的知識などを広く学習します。
皆さんにはこの授業をとおして、教員に対する考え方や心構えを身に付けて頂きます。例えば、教員の身分は法律によって手厚く守られている一方で、大切な子供の教育に直接かかわるという極めて重要な職務を遂行することから、服務についての厳しいルールがあるということなどです。
そして、皆さんはこの科目を履修した後、さらに、教科に関する科目20単位、教職に関する科目31単位(高校は23単位)、教科又は教職に関する科目8単位(高校は16単位)、合計59単位を修得することになります。
大変なことですが、これまでも数多くの先輩がやり遂げていますのでご安心下さい。
簡略ですが以上で紹介と致します。
皆さんが「スポーツ情報マスメディアの専門性を身に付けた保健体育の教員」として学校教育に貢献されることを切に願っております。
〈編集後記〉
教員を目指している方は、東北・北海道唯一の体育系大学・仙台大学で共に学んでみませんか。
本学では、いつでも学科案内や研究所の施設見学などを行っていますので、お気軽にお問い合わせ下さい。詳しくは仙台大学ホームページ(http://www.sendaidaigaku.jp/ )またはISIM(isim2008@scn.ac.jp )までご連絡下さい。(稲福)

2011年2月14日月曜日

i-SIM News078/「教えて!先生」〈10〉阿部篤志先生/情報戦略は準備の科学

こんばんは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の大町です。先週は悪天候の中、一般入試(前期)挑戦のため来学された受験生のみなさん、本当にお疲れ様でした。今週も前回に引き続き「教えて!先生」をお送りいたします。今回はこの研究所の研究員で、本学講師の阿部 篤志(あべ・あつし)先生です。ご専門はスポーツ情報戦略です。スポーツにおける情報戦略とは?
◆情報戦略は準備の科学
世界で活躍するための要件に、「その『世界』にいることが自分にとって『当たり前』であるかどうか」ということがあります。この「世界」というのは、競技スポーツでいえば当然「競技レベル」でもあるのですが、実はそれだけではありません。実力を発揮する上で、世界とは「仲間」や「場」を意味することもあります。あるいは「条件(ルール)」をさすことも。いずれもよく「知る」ことが肝要です。つまり、自分の目標を偶然から必然に近づけることは、多くの部分で「準備(preparation)」に委ねられているのです。情報を以(もっ)て世界を見渡すことで、あらかじめその時に備えて行動を起こしていくこと。「スポーツ情報戦略」とは準備の科学なのです。
<編集後記>
仙台大学では、先週から学生たちが約2ヶ月間の長い春休みに入りました。帰省する人、大学で自主学習を行う人、アルバイトに精出す人ー。人によって休みの過ごし方は異なりますが、春休みは新たなステージを迎えるための大切な準備期間です。志望達成のためラストスパートが必要な人もいることでしょう。みんなが"桜満開の春"を迎えられることを願っております。(大町)

2011年2月7日月曜日

i‐SIM News077/「教えて!先生」〈9〉小野寺努先生/映像編集 未来への課題

仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の荒木です。立春の日の4日、校内の片隅で、紅梅が2,3輪ほころび始めました。1月下旬までは厳しい寒さでしたが、季節のうつろいは確かです。さて、今回の「教えて!先生」は、ISIMの映像アカデミーで有志学生に映像の「いろは」から高度な技術までを教えている小野寺 努(おのでら・つとむ)非常勤研究員に登場してもらいます。小野寺先生、お願いします。

◆映像編集 未来への課題
こんにちは。小野寺努です。テレビ番組やCM、さまざまな映像制作に携わっています。映像制作の中には編集という作業がありますが、今では自宅でもパソコンで手軽に映像編集が楽しめるようになりました。プロの世界もパソコンを利用しての映像編集が主流になっています。以前のように専門的知識を要する世界とはちょっと変わってきたと思います。プロの世界でも手軽に編集できる事により、「何をどのように伝えるか」というメディアの基本が失われてきている様にも感じます。みなさんには「メディアの基本」をしっかり学び、物事の本質に迫る気概を持って映像制作をしてもらいたいと思います。

<編集後記>かつて新聞記者は「カメラとメモ帳、鉛筆さえあれば食べていける気楽な稼業」と言われたものです。ところが今やパソコンが主役で、電子編集の時代。"切り替え"の際は混乱しました。映像の世界はさらに日進月歩です。しかし、ツールが変わっても「伝える心」は不変だと思います。あなたも一緒に「スキル」と「ソウル」を勉強してみませんか。(荒木)

2011年1月31日月曜日

i-SIM News076/「教えて!先生」〈8〉石丸出穂先生/バレーボールの情報戦略活動

 こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の大町です。
 今週から、年末年始などで中断していた「教えて!先生」をお送り致します。今回は仙台大学講師、仙台大学男子バレーボール部監督を務める石丸 出穂(いしまる・いずほ)先生です。それでは石丸先生、よろしくお願い致します。
◆バレーボールの情報戦略活動
 皆さんこんにちは。石丸出穂と申します。私は男子バレーボール部の監督をやりながら、『アナリスト』というゲーム分析を中心とした、情報戦略スタッフを育成しています。昨年11月に東京で行われた女子世界バレーで、日本が銅メダルを獲得した事はご存知の方も多いと思います。熱戦の最中、眞鍋監督がiPadを片手に、選手に指示を出す姿がテレビを通して全国に流れました。そのiPadにゲーム情報を送っていたのが『アナリスト』です。今やバレーボール界では日本だけでなく、アナリストの情報なくして世界と戦うことは、とても考えられない状況になっています。ゲームで現れる情報を収集・分析・伝達して、監督の意思決定サポートを行っていくことが、バレーボールの情報戦略活動を担うアナリストの重要な役割なのです。
《編集後記》
 石丸先生はバレーボールの実技指導だけではなく、部活動でのミーティングの持ち方や、対象者に応じた指導の方法などを学生が自ら考えながら演習するという、大変ユニークな授業を行っています。「コミュニケーション」や「情報収集」といった、座学だけでは身につけられないことを、頭と体を使って自分で考えて動いてみるのが大学の授業です。そのねらいは、実際の場面で活かす「状況に応じた実践力」を伸ばすこと。そこが大学の良いところだと私は感じています。(大町)

2011年1月24日月曜日

i-SIM News075/受験シーズンも本番

寒中お見舞い申し上げます。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の稲福です。大学入試センター試験が行われ、受験シーズンも本番を迎えました。本日は、スポーツ情報マスメディア学科の山内 亨(やまのうち・とおる)学科長より、受験生の皆さんへメッセージをお送りします。山内学科長よろしくお願いいたします。
◆受験シーズンも本番
受験生の皆さんこんにちは! スポーツ情報マスメディア学科長の山内です。受験シーズン真只中。最後の頑張りですね。受験生の『藁(わら)』にもすがりたい気持ちが伝わってきます。体調はいかがですか? ライオン株式会社が実施した受験生意識調査で「受験で準備するものは何か」という答えの第3位に「下痢止め薬」が入りました。極度の緊張で下痢が心配なことがうかがえます。万全の体調で臨むことがベストですが、ここまで来たらジタバタしても自分を追い込むだけです。スポーツの試合と同じです。試合前に『不安』を考えることはマイナスです。自分の努力を信じ「心に余裕を」持って試験に臨むことが一番。仙台大学スポーツ情報マスメディア学科を受験される方とは、4月の入学式で会えることを楽しみにしています。
〈編集後記〉
受験を間近に控えた方は、良いコンディションで本番を迎えられるよう、健康管理にも気をつけてください。そして、今できることに最善を尽くし、最後まで諦めずに頑張ってください。皆さんが持っている力を最大限に発揮できることを、心からお祈りしています。(稲福)

2011年1月17日月曜日

i-SIM News074/キーナート副学長 2011年新年の挨拶

仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の荒木です。新年を迎え、はや半月余。皆様は卯年の幕開けをいかがお過ごしでしたか?平成23年最初のi‐SIM Newsはマーティ・キーナート仙台大学副学長から、受験生の皆さんに力強いエールを送っていただきます。キーナート副学長、よろしくお願いいたします。

◆キーナート副学長 2011年新年の挨拶
新年あけましておめでとうございます。

皆さんもご存知のように、仙台大学は1967年に設立されました。比較的若い大学ではありますが、スポーツ関連の教育を行う大学としては、既に日本のリーダー格であります。もしも貴方が将来、体育教育、スポーツマスメデイア、運動栄養、健康福祉、又はスポーツ行政への道へ進みたいと思っているのならば、仙台大学以上に最適な大学はありません。仙台大学は、次世代へその豊富な知識と経験を伝える情熱を持つ、これら全ての専門の教師で組織されています。
我々は仙台大学に入る全ての学生の皆さんにはバランスのとれた教育を受けて欲しい、と願っています。我々は、皆さんにスポーツの素晴らしさを知り、それを楽しむと同時に良質の教育を受けて欲しいと願っています。教育は人生の保険です。更に、私達は皆さんに世界は日に日に身近なものとなり、狭くなっているという事を認識して頂きたいと願っています。世界で起きている出来事を知り、外国語を学ぶ事、特に英語は、これから専門分野を極める為には必須要素です。外に出る事を恐れずに挑戦して下さい。
私達は、皆さんがより良いバランス教育の為に仙台大学に入学される事、そして将来、国内、さらに国際社会に価値ある貢献をされる事を心より願っております。

〈編集後記〉
今年は「跳ねる」や「飛ぶ」など、縁起が良くて躍動感を感じさせる卯年。ウサギと同じように、いつも耳(アンテナ)を立て、情報をいち早くキャッチして分析し、的確に反応して堅実な日々を送りたいものです。皆さんにとっては、人生の節目となる時期でもあります。大願成就を祈念いたします。(荒木)