2012年8月22日水曜日

i-SIM News 109/ロンドンオリンピックレビュー



204の国と地域が参加したロンドンオリンピック。日本は史上最多38個のメダルを獲得し、チームジャパンの新たな姿をみせた。日本が初めてオリンピックに参加してからちょうど100年の節目。世界のスポーツは確かに「進化」し続けていた。(仙台大学講師 阿部篤志)


多くの日本人を寝不足にしたロンドンオリンピックは、21世紀の新たなスポーツの基準を示すオリンピックであった。史上初めてすべての競技に女子選手が参加した。ユースオリンピックに参加したヤングオリンピアンが「本物の」オリンピックに参加する初めての大会でもあった。そのオリンピックをホストしたイギリスは、開会式や閉会式で同国の文化の懐の深さをみせたが、国際競技力向上の面においても、開催までの7年間における戦略的な取り組みを通じて大きな成果をあげた。

イギリスは2004年アテネオリンピックで、金メダル9個、総メダル30個を獲得して、金メダル獲得数ランクで世界第10位であったが、翌2005年のIOC総会(シンガポール)で2012年ロンドン大会招致を決めると、様々な取り組みを戦略的かつ組織的に押し進め、2008年北京大会では金メダル19個、総メダル47個で世界第4位に、そして2012年ロンドン大会では金メダル29個、総メダル65個を獲得して世界第3位となった。

一人のアスリートがメダルを獲得することは、ロンドンでの内村選手の演技をみても容易でないことが分かる。「いつも通り」にはなかなかいかない。それでも結果として、イギリスが図のように着実にメダル獲得数を伸ばした背景には、潜在的にメダル獲得可能な競技種目やアスリートの数を増やすとともに、そのアスリートがオリンピックという4年に一度の舞台でより確実に結果を出すことができるようにするための取り組みへの、チームGB(英国チーム)の弛まぬ挑戦と努力が生んだ「総合力」があった。

エリートスポーツの統括組織であるUKスポーツは、ロンドンオリンピックに向けた「No Compromise(妥協なし)アプローチ」のコンセプトを打ち出し、各競技団体の取り組みを推進するための評価システム「ミッション2012」を実施。競技団体が四半期に一度、評価と改善を繰り返しながら確実に前進できるよう、UKスポーツは戦略的なイニシアティブをとった。また具体的な取り組みとして、イギリススポーツ研究所(EIS)や民間組織、大学等と連携しながら、包括的な医・科学支援やタレント発掘・育成、研究開発などを展開した。

UKスポーツのリズ・ニコル最高執行責任者は大会終了後、「記録を更新するようなメダル獲得と同じくらい、とても多くの競技種目が勝利の方程式を見つけたことに大きな価値がある。2016年リオオリンピックに向けてこの勢いを維持する自信を持っている」と総括した。

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日本は本大会で、メダル獲得競技数を前回大会の「5」から「10」へと倍増させた。ニコル女史の言葉を借りれば、日本もイギリスと同様に「勝利の方程式」を見つけた競技の数が大幅に増えたことが、本大会における最大の成果だったと言える。この方程式は一昼夜にして導きだせるものではなく、休みなく続く挑戦と努力の過程において見いだされていくものに他ならない。ただそこには一種の「賢明さ」が必要であり、そのためにチームジャパンはいま、先を見据えて情報を扱う意識と行動を重要視している。

本大会においても、村内外の現地スタッフと東京の後方支援チームが一体となって、アスリートやコーチの最後の一歩を支援するとともに、4年後に向けた準備と検討のための情報活動(東京Jプロジェクト2012)を実施。大会最終日には総括レポートがまとめられた。2002年に開始されたこの活動は、10年を経て着実に進化し、チームジャパンは大会ごとに「賢明さ」を獲得しているようにも思える。

それでも、世界は日々動いており、チームジャパンも、そこに関わるすべての一人ひとりも、日々謙虚に賢くなっていく必要がある。関わる人材が多様になった分だけ、どのような力を発揮本学(科)を卒業した学生がそのような道を歩んでいくことを鑑みれば、大学時代にどれだけその基礎体力を身につけられるかがとても大切になる。

私は「アスリート」を「挑戦し続けることに覚悟する人」と定義しているが、同様にそれを支える情報スタッフもその覚悟が必要になる。何事も覚悟して挑むことは容易なことではない。しかしながら、東京・銀座で行なわれたメダリストのパレードに集まった50万人とも言われる人々の熱狂を目の当たりにして、スポーツの持つ力を再認識させられた瞬間、「もう一度」を実現するために、アスリートのみならず、「情報」も覚悟して臨むことができるのかどうか、自問自答せずにはいられなかった。そして、ソチ2014やリオ2016に向けて、学生とともにさらに成長するために、後期授業の始まりが待ち遠しくなった。

皆さんはロンドンオリンピックをどのようにご覧になっていただろうか。


仙台大学 講師
阿部篤志
(東京Jプロジェクト2012メンバー)



2012年8月1日水曜日

i-SIM News 108/メディアからの学び


 こんにちは。スポーツ情報マスメディア学科マスメディアコース3年の横山紘基【よこやま こうき】です。今日まで、講義や実習を通しメディアという媒体について学んできましたが、今回はマスメディア学科の学生として、私がこれまでの経験から感じてきたことを書きたいと思います。

 まず、私が感じていることは、日々のメディア(主に報道)に対する見方が変わったということです。毎日ニュースを見る中で、このニュースの背景には何があるのか、将来的に推測されることは何なのかなどと考えることで、メディアに対してあらゆる視点から見られるようになってきました。スポーツ情報マスメディア学科長である山内先生の講義では、1週間にあったニュースを答えさせるというものがあります。この講義から、ニュースは文脈を考えて、背景やその先を読み取ることがメディアから情報を得る際、また自分が伝える際には非常に重要であるということを学びました。
 大学生ならこのようにニュースを見ていくことは当たり前かもしれませんが、この学科では、メディアを学びつつ、ニュースを捉えることができます。私達にしかできない貴重な経験だと思っています。常にマスメディア学生の視点から、ニュースを捉え、考え、メディアの報道の仕方に強く関心を持つことで、メディアに対する見方、考え方が変わってきたと私は感じています。
また、2年生の取材報道実習で柴田町にある河北新報船岡販売所と震災の被害にあった石巻で実習を行い、記者になったつもりで報道の現場を肌で感じました。まず、販売所では「オアシス」という町のフリーペーパーの作成に携わり、写真の撮影と記事を書かせていただきました。石巻の実習ではメディアが伝えている震災の報道を調べてから現場を訪れ、報道と現状とを比較しました。
これらの実習から、自分で情報を伝えることの難しさとメディアの果たす役割を生で体感でき、情報の持つ重要性を改めて感じることができました。また、情報を伝えるには、現場で自分がどう動けるかが報道の質を高める鍵になると実感しました。
これからも幅広い教養を身に付け、成長したマスメディア学科の学生になって卒業できるように、講義、実習等に積極的に取り組んでいこうと思います。