11月17日現在、バレーボール WORLD CUP 2011での日本の順位は6勝3敗で4位である。しかし、世界ランキング1位のブラジルをストレートで下し、上位3チームに与えられるロンドンオリンピック出場権を獲得する可能性が残った。この粘り強い、日本の強さの秘密はなんなのだろうか。 (ISIM研究員 石丸出穂)
昨年の世界バレー(世界選手権大会)で、日本女子バレーボールチームが3位決定戦でアメリカを破り、銅メダルを獲得したのは記憶に新しい。そして現在行われているバレーボール WORLD CUP 2011においても、昨年以上の成績を目指し、日々彼女らは戦っている。
日本をはじめ、世界のバレーボール界がデータを駆使して闘うようになって久しい。その中でも昨年の世界バレーで日本女子の真鍋監督が、i-Padを使って選手にアドバイスを送っている姿がTVで放送され、一躍その情報戦略活動が注目されるようになった。i-Padに情報を伝達していたのが、アナリスト(情報戦略スタッフ)である。
アナリストは、自チームの試合中はエンドライン後方のスタッフ席(記録席)と呼ばれる場所で、その試合の情報収集・分析・伝達を行っている。選手がサーブを打つ準備をしているシーンを正面から撮影される場合、画面に映ることがあるので、ぜひそこにも注目していただきたい。自チーム以外の試合では、観客席にあるエンドライン後方に位置する"ビデオ席"で、収集作業を行っている。
近年、バレーボールでは世界の標準データソフトとして、イタリアで開発された『Data Volley & Video』が使用されている。北京オリンピックでは、男女24チームの参加国中、22ヵ国がこのソフトを使用している。ブラインドタッチで、ボールに接触したプレーはもちろん、それ以外のプレーヤーの動きに関する情報すべてを収集している。たとえば、ホームチームの1番がジャンプサーブを1の位置から9の位置へ打ち、アウェイチームの4番がレセプション(サーブレシーブ)を完璧に返球し、8番がBクイックを9Cの位置に打って、ホームチーム20番がディグ(スパイクレシーブ)をミスしたという場合、「1SQ19.4# a8PB9C.20D=」というコードであらわす。このとき、サーブを表すコードSやアタックを表すコードP(もしくはA)が入力されたときのタイムコードが同時に記録される。入力されたコードは、客観的データとして蓄積され、表や、グラフ、チャートとしてまとめられる。1試合に収集するコードは、フルセットになると1000を超える。