2011年11月17日木曜日

i-SIM News 093/スポーツの様々な見方

 1117日現在、バレーボール WORLD CUP 2011での日本の順位は63敗で4位である。しかし、世界ランキング1位のブラジルをストレートで下し、上位3チームに与えられるロンドンオリンピック出場権を獲得する可能性が残った。この粘り強い、日本の強さの秘密はなんなのだろうか。 ISIM研究員  石丸出穂
 
 昨年の世界バレー(世界選手権大会)で、日本女子バレーボールチームが3位決定戦でアメリカを破り、銅メダルを獲得したのは記憶に新しい。そして現在行われているバレーボール WORLD CUP 2011においても、昨年以上の成績を目指し、日々彼女らは戦っている。
 日本をはじめ、世界のバレーボール界がデータを駆使して闘うようになって久しい。その中でも昨年の世界バレーで日本女子の真鍋監督が、i-Padを使って選手にアドバイスを送っている姿がTVで放送され、一躍その情報戦略活動が注目されるようになった。i-Padに情報を伝達していたのが、アナリスト(情報戦略スタッフ)である。
 アナリストは、自チームの試合中はエンドライン後方のスタッフ席(記録席)と呼ばれる場所で、その試合の情報収集・分析・伝達を行っている。選手がサーブを打つ準備をしているシーンを正面から撮影される場合、画面に映ることがあるので、ぜひそこにも注目していただきたい。自チーム以外の試合では、観客席にあるエンドライン後方に位置する"ビデオ席"で、収集作業を行っている。
 近年、バレーボールでは世界の標準データソフトとして、イタリアで開発された『Data Volley & Video』が使用されている。北京オリンピックでは、男女24チームの参加国中、22ヵ国がこのソフトを使用している。ブラインドタッチで、ボールに接触したプレーはもちろん、それ以外のプレーヤーの動きに関する情報すべてを収集している。たとえば、ホームチームの1番がジャンプサーブを1の位置から9の位置へ打ち、アウェイチームの4番がレセプション(サーブレシーブ)を完璧に返球し、8番がBクイックを9Cの位置に打って、ホームチーム20番がディグ(スパイクレシーブ)をミスしたという場合、「1SQ19.4# a8PB9C.20D=」というコードであらわす。このとき、サーブを表すコードSやアタックを表すコードP(もしくはA)が入力されたときのタイムコードが同時に記録される。入力されたコードは、客観的データとして蓄積され、表や、グラフ、チャートとしてまとめられる。1試合に収集するコードは、フルセットになると1000を超える。
 陰で選手たち支えるアナリスト。バレーボール WORLD CUP 2011を観戦するときには、観客席に注目することも面白さの一つである。

2011年11月2日水曜日

i-SIM News 092/こどもスポーツ大学 in OTOINEPPU 開催!

1029(土)、30(日)の2日間、北海道中川郡音威子府(おといねっぷ)村で1泊2日の「こどもスポーツ大学」が開催されました。対象は、北海道上川5市町村の小学3〜6年生21名。子どもたちは自分で考えて行動することの難しさを体験しながら、それぞれがいま"できないこと"をどう乗り越えるか、スポーツを通じてチャレンジしました。(ISIM研究スタッフ 大町祐太)
 
 今回のこどもスポーツ大学のテーマは"できないこと"は"できるようになる"。それぞれがいま"できないこと"はどんなことだろうか、そして2日間で"できるようになる"ためには何をしなければいけないのかを考えることからプログラムがスタートしました。21人の"大学生"たちは「友達をなるべくたくさん作る」「多くの友達に話かけるようにする」など、それぞれの"できないこと"を発表。2日目の修了式までに目標が達成できるよう、自分自身と約束をしました。
 こどもスポーツ大学では子どもたちは小学生ではなく大学生という設定なので、自分のことは自分でなんとかしなければいけません。時間の使い方から、体調管理まで、先生からの指示はありません。その代わりに、先生方がたくさんのヒントを与えてくれます。「自分の体を整えるためには、どんな食べ物が必要なのか」「スポーツとことばは、実はすごく関係があること」「"できないこと"というのは、本当はすごく良いことであること」など、たくさんのアドバイスがありました。これらを自分の中で「考えて」「整理して」「行動する」ということが小学生と大学生の大きな違いです。
 はじめに自分と約束したことが、2日間で"できるようになった"学生、2日間では"できなかった"学生、もちろん結果はそれぞれでしたが「大切なのは今回できなかったことを、これからも"できるようになる"ために努力すること」であるという先生方からの最後のメッセージ。はじめのときとは比べものにならない程、成長した彼らの顔つきは、今でも脳裏に鮮明に残っています。
 自分ができないこと「Chance(機会)」に「Challenge(挑戦)」して、できるようになる「Change(変化)」ということ。これは21人の子どもたちだけではなく、私たち大人にとっても感慨深いテーマでした。子どもたちが一生懸命変わろうとする姿を見て、むしろ周りにいる大人たちが本気になってしまうところも、こどもスポーツ大学の魅力であると私は感じています。またいつか、熱い気持ちを持った大人たちの中で、より大きくなった"大学生たち"に再会できる日を楽しみにしています。