2012年3月28日水曜日

i-SIM News 101/グローバル・スポーツキャリアカンファレンスin Sendai 2012開催!

去る3月20日、フォレスト仙台においてグローバル・スポーツキャリアカンファレンスin Sendai 2012が行われた。ISIMがこどもスポーツ大学を展開している上川北部地区の美深町から今年度本学大学院に進学予定の南隆徳さんが登壇し、これからの学びへの希望やトップアスリートとしての胸の内を語ってくれた。(ISIM 粟木一博 副所長)
http://isim-suni.blogspot.com/

 このカンファレンスは文部科学省の競技者および指導者のスポーツキャリア形成を支援することを目的に行われている「スポーツキャリア大学院プログラム」の一環として行われたものである。ここでは、競技者のハイパフォーマンスパスウェイと高等教育とをキャリアの中に併存させるデュアルキャリアサポートの考え方が示されるとともに、ユースオリンピックの文化教育プログラムの内容の紹介をはじめ、大学院教育のトップアスリートのキャリアに対する、延いては今後の日本のスポーツ界に対する寄与というテーマでの基調講演、ディスカッションが行われた。
 登壇してくれた南さんは今春から、ソチ・オリンピック競技大会出場を視野に入れつつ、将来の目標である指導者としての資質を磨くために本学の大学院で学ぶことになる。これをきっかけに我々が優れたカリキュラムを作成し、トップレベルのスポーツで質の高い経験を積んだ優秀な指導者を育てることは、さらに優れたプログラムを生み、日本の国際競技力向上への貢献することになる。つまり、カリキュラム(プログラム)とそれによって育成された人材とが好循環を形成することになる。ISIMの多岐にわたる活動は多くの人々を巻き込んだネットワークを構成してきた。これらの人々が大学、大学院教育に関わりを持ち、そこで行われた教育の効果がネットワークを介して広がりを見せることはISIMの最も期待されるべき重要な機能といってもよいのではないだろうか。今回のカンファレンスにもISIMのネットワークを通じて多くの方々に参加していただいた。この場を借りて感謝の意を表したい。

2012年3月21日水曜日

i-SIM News 100/ISIMで学んだこと

こんにちは。スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)所長の山内です。あの大震災から早くも一年が経過しました。被災地では今もなお癒えぬ悲しみにくれる人、辛い思いを心の奥にしまい込み、元気に復興に向き合う人など様々です。新たな目標に挑戦する人も多く見られるようになりました。そんな人達に自然界はようやく春の日差しを届ける季節になりました。春は旅立ちの季節でもあります。
ISIMからも3人が仕事を終え「夢」を描いて新たな道を歩むことになりました。3人がご挨拶申し上げます。
http://isim-suni.blogspot.jp/

「スポーツのもつチカラ」
二年間、研究所運営スタッフとしてお世話になりました。春から被災地(宮城県七ヶ浜町)にある総合型地域スポーツクラブの運営に携わります。
総合型地域スポーツクラブとは、日々の生活を過ごさせていただいている愛すべき地域(地元)が抱えている(気づいていないこともある)課題・問題を「スポーツ」という方法を用いてよりよく、住みやすい‘Happyな場所’にしていくためのツールだと考えています。ISIMが提供する多くのプログラムを通して見えた地域の人々の表情にその‘Happy’をみることができたように思います。
Team ISIMの一員だからこそ出逢うことのできた多くの方々との‘つながり’や経験することのできた‘最先端’を糧に被災地でまたスポーツの価値を問い続けながら、もう一度「スポーツを楽しむ」ことから始めてみようと思います。ありがとうございました。
ISIM 木間奈津子 運営スタッフ

「素晴らしい人たちとの出会いや多様な経験に溢れた2年間」
スポーツ情報マスメディア研究所では、スポーツを通して相互扶助や行動力(自ら考え行動する)、繋がりの大切さなどを学び、スポーツの素晴らしさ・面白さを感じることができました。また、多様な人との出会いや経験(挑戦)から、視野が広がり、物の見方や考え方に影響を受け、人として、スポーツに係わる一人として大きく成長することができました。この2年間でスポーツに係る人たちがスポーツを通して新たな“気づき”を得るためのお手伝いをしてきました。ですが実は、それらの活動を通して、私自身が皆さんから多様な“気づき”を得ていたことに気づきました。この2年間で得た“気づき”をどのように次へと活かすことができるのか。これまでの出会いに感謝し、人々との出会いや経験から得た知識や知恵を活かし、日進月歩、更なる成長のために行動していきます。
ISIM 稲福貴史 研究スタッフ

「人と人が繋がるということ」
こんにちは。研究スタッフの大町です。私は入学してから計5年間、この大学でお世話になりました。ISIMで働かせていただき、これまでの人生の中では見えなかった「人と人との繋がりの大切さ」に気付くことができました。ここで出会った方の多くは、皆それぞれ将来のビジョンを持っていて、目指すものがハッキリしていました。そして、その人たちが最終的に目指すものは、たくさんの人が幸せになるという未来です。スポーツに関わる人間として、常にこの気持ちを大切にすることを私は多くの人と繋がって学びました。
私の「夢」は、スポーツがきっかけとなって、たくさんの人が繋がり、そこに多くの笑顔が生まれることです。ISIMで学んだ「信念」と「姿勢」を大切にして、心も体も大きな人間になれるよう努力していきます。
ISIM 大町祐太 研究スタッフ

3人は「夢」を持って新たな道に立ち向かいます。「夢」は眺めるものではありません。夢は願いを実現するための道標です。震災からの復興はもちろん、新たな社会で活躍したいとの願いもきっと「夢」が道案内をしてくれると思います。ISIMを巣立つ3人の傍らにこれまであったものは「スポーツ」です。それぞれ進む道でも「スポーツ」の価値を伝える伝道師であって欲しいと期待しています。

2012年3月7日水曜日

i-SIM News 099/東日本大震災から1年 -スポーツの力をどう生かすか-

平和な営みを一瞬にして打ち砕いた大震災から間もなく1年が経ちます。犠牲者への断ち難い思い、先行き不透明な放射能の恐れ、進まぬ生活再建など大震災の残した爪痕は消えません。厳しい現状の中、今後どうすれば「スポーツの持つ力」で被災者の方々を元気付けることが出来るのかー。スポーツ界に、大きな課題が横たわっています。(ISIM 荒木廸 事務課長)

日本中が大震災で打ちのめされていた2011年7月17日、サッカー女子W杯ドイツ大会で「なでしこジャパン」が初めて世界の頂点に立ちました。決勝の対戦相手は、日本が過去24回戦って1回も勝てていない米国です。先行されては追いつく粘りの末にPK戦までもつれ込み、米国が力尽きました。スポーツの持つ力が、失意の日本人を奮い立たせてくれました。
時代は一気に遡りますが、第2次世界大戦で日本が降伏した3、4年後のことです。「フジヤマのトビウオ」と言われたスイマー古橋広之進が、400m自由型や1,500m同で次々と世界記録を塗り替えました。芋で腹を満たし、藻の浮くプールでひたすら練習に明け暮れた毎日。敗戦国とあってオリンピックなどの国際大会には参加を許されなかった中での快挙でした。米空軍の空襲による“焼野が原”で、生きることに精一杯だった敗戦国民は、「フジヤマのトビウオ」の力泳で誇りを取り戻し、復興に大きな弾みがつきました。
この1年、多くのアスリートがさまざまな活動を通して被災地に元気と勇気を運んでくれました。有意義なことでした。これからは被災者や子どもたちに、自らスポーツを楽しんでもらう“場”を作ることが欠かせません。スポーツに関わる人間・組織が知恵を絞る時です。既にあちこちで実践されているのでしょうが、被災者に寄り添い、声を聞き、ニーズを分析し、継続的に活動できる足腰の強い組織の構築が大切でしょう。長い取り組みとなりそうです。