2011年8月3日水曜日

i-SIM News 086/ メディアが伝えられる限界とは?

こんにちは。私はスポーツ情報マスメディア研究所の非常勤研究員としてアカデミー(学科の有志)で映像・音響を指導しています。同時に現在は、障害者と震災を軸にした映画制作に取り組み、東北各県の被災地に行き撮影を行っています。自分が目にし、耳にした事をどうしたら多くの人に伝えられるのか日々悩んでいます。(映像アカデミー担当 小野寺努)

映像で何が伝えられるのか?それは今回の大震災を伝える事に限らず、メディアにとって永遠のテーマです。

震災とは別な話のようですが、私は長年「なでしこリーグ」の試合やチームの取材、「なでしこジャパン」のキャンプの取材などを行ってきました。現在はワールドカップで優勝したことにより注目されていますが、女子サッカーリーグや女子選手における環境の悪さに驚きました。澤選手もそうですが、取材をする各メディアの人間全てが、女子サッカーがもっと注目され、観客動員数の増加を願い、女子サッカーの良さを伝えようとしていました。しかし、全国にネット局を持つテレビで紹介される事は少なく、チームを持つ地元メディアで簡単に紹介されれば、まだましだという状況でした。メダル獲得という事が無ければ、今年もまた「なでしこジャパン」はそんなに大きく取り上げられる事はなかったのではないかと思います。

メディアは日々何を伝えられるのか?「なでしこジャパン」のケースや「震災」を伝える事を挙げても悩みは同じです。一過性の要素は全ての取材対象に存在すると考えられます。だからこそ日々悩むのです。
永久的に伝え続ける事ができるのか?現場で起きている事の「何」を伝えるのか?解決のできない永遠のテーマかもしれません。
そこで私は映画という残る形として制作し、表現し、伝え残す道を歩んでいます。全てを伝えきれなくとも、形を残す事が私にできる精一杯の自分の力だと思っています。
もしかしたら、今回の震災を映像で伝える事は、メディアができるボランティア活動かもしれません。

メディアを目指す人、興味のある人。将来にわたり、共に悩んでみませんか?