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2012年8月22日水曜日

i-SIM News 109/ロンドンオリンピックレビュー



204の国と地域が参加したロンドンオリンピック。日本は史上最多38個のメダルを獲得し、チームジャパンの新たな姿をみせた。日本が初めてオリンピックに参加してからちょうど100年の節目。世界のスポーツは確かに「進化」し続けていた。(仙台大学講師 阿部篤志)


多くの日本人を寝不足にしたロンドンオリンピックは、21世紀の新たなスポーツの基準を示すオリンピックであった。史上初めてすべての競技に女子選手が参加した。ユースオリンピックに参加したヤングオリンピアンが「本物の」オリンピックに参加する初めての大会でもあった。そのオリンピックをホストしたイギリスは、開会式や閉会式で同国の文化の懐の深さをみせたが、国際競技力向上の面においても、開催までの7年間における戦略的な取り組みを通じて大きな成果をあげた。

イギリスは2004年アテネオリンピックで、金メダル9個、総メダル30個を獲得して、金メダル獲得数ランクで世界第10位であったが、翌2005年のIOC総会(シンガポール)で2012年ロンドン大会招致を決めると、様々な取り組みを戦略的かつ組織的に押し進め、2008年北京大会では金メダル19個、総メダル47個で世界第4位に、そして2012年ロンドン大会では金メダル29個、総メダル65個を獲得して世界第3位となった。

一人のアスリートがメダルを獲得することは、ロンドンでの内村選手の演技をみても容易でないことが分かる。「いつも通り」にはなかなかいかない。それでも結果として、イギリスが図のように着実にメダル獲得数を伸ばした背景には、潜在的にメダル獲得可能な競技種目やアスリートの数を増やすとともに、そのアスリートがオリンピックという4年に一度の舞台でより確実に結果を出すことができるようにするための取り組みへの、チームGB(英国チーム)の弛まぬ挑戦と努力が生んだ「総合力」があった。

エリートスポーツの統括組織であるUKスポーツは、ロンドンオリンピックに向けた「No Compromise(妥協なし)アプローチ」のコンセプトを打ち出し、各競技団体の取り組みを推進するための評価システム「ミッション2012」を実施。競技団体が四半期に一度、評価と改善を繰り返しながら確実に前進できるよう、UKスポーツは戦略的なイニシアティブをとった。また具体的な取り組みとして、イギリススポーツ研究所(EIS)や民間組織、大学等と連携しながら、包括的な医・科学支援やタレント発掘・育成、研究開発などを展開した。

UKスポーツのリズ・ニコル最高執行責任者は大会終了後、「記録を更新するようなメダル獲得と同じくらい、とても多くの競技種目が勝利の方程式を見つけたことに大きな価値がある。2016年リオオリンピックに向けてこの勢いを維持する自信を持っている」と総括した。

***

日本は本大会で、メダル獲得競技数を前回大会の「5」から「10」へと倍増させた。ニコル女史の言葉を借りれば、日本もイギリスと同様に「勝利の方程式」を見つけた競技の数が大幅に増えたことが、本大会における最大の成果だったと言える。この方程式は一昼夜にして導きだせるものではなく、休みなく続く挑戦と努力の過程において見いだされていくものに他ならない。ただそこには一種の「賢明さ」が必要であり、そのためにチームジャパンはいま、先を見据えて情報を扱う意識と行動を重要視している。

本大会においても、村内外の現地スタッフと東京の後方支援チームが一体となって、アスリートやコーチの最後の一歩を支援するとともに、4年後に向けた準備と検討のための情報活動(東京Jプロジェクト2012)を実施。大会最終日には総括レポートがまとめられた。2002年に開始されたこの活動は、10年を経て着実に進化し、チームジャパンは大会ごとに「賢明さ」を獲得しているようにも思える。

それでも、世界は日々動いており、チームジャパンも、そこに関わるすべての一人ひとりも、日々謙虚に賢くなっていく必要がある。関わる人材が多様になった分だけ、どのような力を発揮本学(科)を卒業した学生がそのような道を歩んでいくことを鑑みれば、大学時代にどれだけその基礎体力を身につけられるかがとても大切になる。

私は「アスリート」を「挑戦し続けることに覚悟する人」と定義しているが、同様にそれを支える情報スタッフもその覚悟が必要になる。何事も覚悟して挑むことは容易なことではない。しかしながら、東京・銀座で行なわれたメダリストのパレードに集まった50万人とも言われる人々の熱狂を目の当たりにして、スポーツの持つ力を再認識させられた瞬間、「もう一度」を実現するために、アスリートのみならず、「情報」も覚悟して臨むことができるのかどうか、自問自答せずにはいられなかった。そして、ソチ2014やリオ2016に向けて、学生とともにさらに成長するために、後期授業の始まりが待ち遠しくなった。

皆さんはロンドンオリンピックをどのようにご覧になっていただろうか。


仙台大学 講師
阿部篤志
(東京Jプロジェクト2012メンバー)



2012年7月4日水曜日

i-SIM News 106/開設から1年、今年度の活動とこれから=ISIM情報戦略グループ

スポーツ情報戦略に関わるハブ拠点として仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所が「スポーツ情報戦略研究グループ」を開設してから1年が経ちました。今回は、その取り組みを中心にご紹介します。(ISIM 溝上拓志 アシスタント・スタッフ)

 今年度情報戦略グループとして行ったことは、昨年6月に配信(i-SIM News083/情報戦略「知の集約と発信」拠点、いよいよ始動)した際に掲載した「アカデミープログラムの枠組みと内容(一部計画案)」におけるプロジェクトの一つ、情報(IT)リテラシー向上セミナーをスポーツ情報戦略フォーラムという題目で、5〜6月の2ヵ月に渡り7回開催しました。
 フォーラム開催の目的は、「スポーツ現場の第一線で活躍されている方にお越し頂き、情報の運用に関わる実践事例を紹介いただくとともに、そこから情報の卓越性について検討を加えることで、その知見を広く共有するとともに、情報を扱う際に求められる価値観や態度について学び、実践的な情報活用のスキル向上を目指す。」ことです。全日本女子バレーボールチーム・チーフアナリストの渡辺啓太氏や、日本サッカー協会広報部情報戦略グループの松田利幸氏など第一線で活躍されている方々に本学にお越しいただき行われました。全学公開で開催したこともあり、スポーツ情報マスメディア学科生だけでなく部活動に所属している他学科生をはじめ様々な本学関係者に参加していただき、情報(Intelligence)について学びました。
 今後情報戦略グループの取り組みとして、一つ目に「部活動との連携促進」によりダートフィッシュ・ソフトウェアを活用した情報戦略支援、二つ目にオリンピックイヤーということで「ロンドンオリンピックを題材にトレーニング」を予定しています。昨年掲げたコンセプトをテーマに学生が情報戦略の実務と実践に触れて学ぶ場を多く設定できるよう、本学関係者の要望を取り入れながら活動を促進していきます。

2012年6月20日水曜日

i-SIM News 105/バレーボール世界最終予選(情報戦略)

バレーボールの世界最終予選が、女子が5月27日、男子が6月10日に終了した。日本チームは、女子は最終戦までもつれ込み、ロンドンオリンピックの出場権を獲得したが、男子は残念ながら、2大会連続のオリンピック出場は叶わなかった。これからは夏のロンドンオリンピックに向け、女子のメダル獲得のため、現場のアナリストを中心に、それを支える情報戦略班(日本バレーボール協会内組織)の一員として、全力でバックアップしていくこととなる。(ISIM 石丸出穂研究員)
 
 筆者はアテネオリンピックでは女子、北京オリンピックでは男子の情報戦略スタッフ(アナリスト)として、日本代表チームに帯同した経験を持つ。4年前は私も男子の植田監督とともに、世界最終予選を戦っていた。男子と女子とでアナリストとしてオリンピックで経験したことは、非常に運が良かったと考えている。プレーヤーとして代表経験のない私が、スタッフとしてでも2大会もオリンピックを経験することが出来たのは、アナリストの重要性をいち早く感じ、取り組ませていただいた、私を指導してくださった先生方や、バレーボール界の環境に感謝せざるを得ない。

 バレーボールの情報戦略を行うスタッフが、「アナリスト」と呼ばれて活動していることは、女子ナショナルチームの眞鍋監督が活用する、iPadのTVでの露出も手伝って、多くの人々に認知されつつあるように感じる。大変喜ばしいことである。現在女子のチーフアナリストを務める渡辺氏は、かつてTVのバレーボールの試合で、ベンチに置いてあるパソコンを見て、「あれは何に使われているのだろう?」と疑問を持ったことから、アナリストへの道が始まったと話していた。女子バレーボールの現在の躍進は、監督をはじめ選手の努力あってのことだが、渡辺氏が務めるアナリストの存在なくしては、ここまでのレベルアップはあり得なかったであろう。今回のバレーボールの試合を見て、バレーボールっておもしろいなと感じてもらい、バレーボールそのものを楽しんでもらうことも重要であるが、iPadを使って戦っている、選手を支えるスタッフ、アナリストを見て、バレーボールのアナリストを目指したい!!という次世代のプロフェッショナルな情報戦略スタッフが生まれることを期待したい。

2012年3月28日水曜日

i-SIM News 101/グローバル・スポーツキャリアカンファレンスin Sendai 2012開催!

去る3月20日、フォレスト仙台においてグローバル・スポーツキャリアカンファレンスin Sendai 2012が行われた。ISIMがこどもスポーツ大学を展開している上川北部地区の美深町から今年度本学大学院に進学予定の南隆徳さんが登壇し、これからの学びへの希望やトップアスリートとしての胸の内を語ってくれた。(ISIM 粟木一博 副所長)
http://isim-suni.blogspot.com/

 このカンファレンスは文部科学省の競技者および指導者のスポーツキャリア形成を支援することを目的に行われている「スポーツキャリア大学院プログラム」の一環として行われたものである。ここでは、競技者のハイパフォーマンスパスウェイと高等教育とをキャリアの中に併存させるデュアルキャリアサポートの考え方が示されるとともに、ユースオリンピックの文化教育プログラムの内容の紹介をはじめ、大学院教育のトップアスリートのキャリアに対する、延いては今後の日本のスポーツ界に対する寄与というテーマでの基調講演、ディスカッションが行われた。
 登壇してくれた南さんは今春から、ソチ・オリンピック競技大会出場を視野に入れつつ、将来の目標である指導者としての資質を磨くために本学の大学院で学ぶことになる。これをきっかけに我々が優れたカリキュラムを作成し、トップレベルのスポーツで質の高い経験を積んだ優秀な指導者を育てることは、さらに優れたプログラムを生み、日本の国際競技力向上への貢献することになる。つまり、カリキュラム(プログラム)とそれによって育成された人材とが好循環を形成することになる。ISIMの多岐にわたる活動は多くの人々を巻き込んだネットワークを構成してきた。これらの人々が大学、大学院教育に関わりを持ち、そこで行われた教育の効果がネットワークを介して広がりを見せることはISIMの最も期待されるべき重要な機能といってもよいのではないだろうか。今回のカンファレンスにもISIMのネットワークを通じて多くの方々に参加していただいた。この場を借りて感謝の意を表したい。

2012年2月1日水曜日

i-SIM News 097/情報戦略を学び世界を感じる! 仙台Jプロジェクト

2012年1月 13(金)〜22(日)の10日間、記念すべき第1回ユースオリンピック冬季競技大会(WYOG)はオーストリアのインスブルックで開催されました。そこ で今回は、本学で実施され、現在も継続中の"仙台Jプロジェクト"の活動について報告します。(ISIM 溝上拓志 アシスタント・スタッフ)
 
 仙台Jプロジェクトは、グローバルな情報に触れることを目的とした「スポーツ情報戦略論実習Ⅱ」を受講しているスポーツ情報マスメディア学科3年生と「スポーツ情報戦略演習」を受講している大学院生で構成され、ユースオリンピック競技大会から情報戦略活動を経験し、組織的な情報戦略活動を体得するのが狙いです。本プロジェクトはスポーツに教育的な価値があると考え、子どもたちにスポーツを通じた学びの機会があることを知り、体験してもらうことで多様な“気づき”を得てもらいたいと考え活動しています。

 活動内容は主に2つです。1つは大会期間中に世界各国の選手団情報や大会運営組織、一昨年夏にシンガポールで行われた第1回ユースオリンピック競技大会との比較、そしてオリンピックの価値や地球規模の課題を学ぶ、文化・教育プログラム(CEP)等のWYOGに関する情報を収集して分析する「情報戦略スタッフ活動」です。

 もう1つは、2つのグループに編成し本学の所在地である「柴田町」に対して、「スポーツと教育に関する気づきを提供できることは何か」を実践する「グループ活動」です。現在私たちは、メンバーから提出された100枚に渡るインフォメーション(素材情報)やインテリジェンス(評価情報)を、ファイナルレポートとして1つにまとめる作業をしています。私たちの活動から多くの子どもたちが自分の将来を“築く”知識を、スポーツを通して“気づき”、学んでほしいと思います。

 私は今回、学科授業の履修者の1人としてプロジェクトリーダーを務めています。運営方法に関して発言・行動をする際、考えなければいけないことや組織の在り方・仕組みについても学ぶことができました。これらの貴重な経験を、今後のプロジェクト活動と将来に生かしていきます。

2011年11月17日木曜日

i-SIM News 093/スポーツの様々な見方

 1117日現在、バレーボール WORLD CUP 2011での日本の順位は63敗で4位である。しかし、世界ランキング1位のブラジルをストレートで下し、上位3チームに与えられるロンドンオリンピック出場権を獲得する可能性が残った。この粘り強い、日本の強さの秘密はなんなのだろうか。 ISIM研究員  石丸出穂
 
 昨年の世界バレー(世界選手権大会)で、日本女子バレーボールチームが3位決定戦でアメリカを破り、銅メダルを獲得したのは記憶に新しい。そして現在行われているバレーボール WORLD CUP 2011においても、昨年以上の成績を目指し、日々彼女らは戦っている。
 日本をはじめ、世界のバレーボール界がデータを駆使して闘うようになって久しい。その中でも昨年の世界バレーで日本女子の真鍋監督が、i-Padを使って選手にアドバイスを送っている姿がTVで放送され、一躍その情報戦略活動が注目されるようになった。i-Padに情報を伝達していたのが、アナリスト(情報戦略スタッフ)である。
 アナリストは、自チームの試合中はエンドライン後方のスタッフ席(記録席)と呼ばれる場所で、その試合の情報収集・分析・伝達を行っている。選手がサーブを打つ準備をしているシーンを正面から撮影される場合、画面に映ることがあるので、ぜひそこにも注目していただきたい。自チーム以外の試合では、観客席にあるエンドライン後方に位置する"ビデオ席"で、収集作業を行っている。
 近年、バレーボールでは世界の標準データソフトとして、イタリアで開発された『Data Volley & Video』が使用されている。北京オリンピックでは、男女24チームの参加国中、22ヵ国がこのソフトを使用している。ブラインドタッチで、ボールに接触したプレーはもちろん、それ以外のプレーヤーの動きに関する情報すべてを収集している。たとえば、ホームチームの1番がジャンプサーブを1の位置から9の位置へ打ち、アウェイチームの4番がレセプション(サーブレシーブ)を完璧に返球し、8番がBクイックを9Cの位置に打って、ホームチーム20番がディグ(スパイクレシーブ)をミスしたという場合、「1SQ19.4# a8PB9C.20D=」というコードであらわす。このとき、サーブを表すコードSやアタックを表すコードP(もしくはA)が入力されたときのタイムコードが同時に記録される。入力されたコードは、客観的データとして蓄積され、表や、グラフ、チャートとしてまとめられる。1試合に収集するコードは、フルセットになると1000を超える。
 陰で選手たち支えるアナリスト。バレーボール WORLD CUP 2011を観戦するときには、観客席に注目することも面白さの一つである。

2011年9月21日水曜日

i-SIM News 089/第4回国際スポーツ情報カンファレンスの報告

 第4回国際スポーツ情報カンファレンスが9月11日(日)、仙台大学を会場にして開かれました。今回のテーマは「大震災 スポーツの明日を考える」。カンファレンスはF棟101教室で、第4体育館では宮城、岩手それに山形から子どもたちに集まってもらい「あしたひろば」が開かれました。(ISIM齋藤研究員)

 県内、県外で教育やスポーツなどに関わっている人たちが参加したカンファレンスは公益財団法人日本オリンピック委員会の平眞事務局長が「東日本大震災後/これからの取り組み」と題したオープニングセッションで始まりました。このなかで大震災後、JOCは初めて、救援医療チームを被災地岩手県大船渡市に派遣したこと、救援物資として1万点以上の衣類などを送ったこと、避難所へオリンピアンを派遣したことーなどこれまで行ってきた支援活動を報告しました。また、今後、被災地で「ミニオリンピック事業」を展開、第1回は10月10日(体育の日)に仙台市の陸上競技場で「ミニオリンピックin 仙台」を開催し、被災地の子どもたちに対して支援活動を行っていくことを明らかにしました。
 続いて「メディアから見た『震災』と『スポーツ』(仙台大学・齋藤)、(財)日本卓球協会常務理事・強化本部長の星野一朗氏が「競技団体からみた『震災』と『スポーツ』」、宮城県亘理町荒浜中学校教諭の三浦秀昭氏が「教育現場からみた『震災』と『スポーツ』」と題して情報提供を行いました。このなかで星野氏は競技団体として模索した長期的な支援策や義捐金の募集、送金、卓球台140台を被災地に送ったことなど震災復興活動を報告しました。続いて三浦氏は学校が津波で現在も使用できない荒浜中学校の現状を震災が起こった3月11日から時系列で被災状況を報告しました。それによりますと3月11日は卒業式があり生徒は下校し職員だけが在校していたこと、地震の後、地域の人たち約500人が荒浜中に避難してきたこと、そして巨大津波が襲来。ようやく自衛隊のヘリで屋上から救出されたのは2日後のことだったということです。また、職員室も津波に襲われ、顧問をしているソフトボール部のスコアブックなどのパソコンデータもすべて失いました。自身も自宅が津波被害を受け、現在も名取市内にアパートを借りて家族で暮らしているということです。そうしたなか、中学校は同じ町内の中学校の一角を借りて授業や部活をしていますが、危うく中止になりそうだった中総体でソフトボール部やソフトテニス部などの部活が大活躍してくれたことは、先の見えない絶望的な状況の中で「スポーツの力」によって一筋の光明が見えたという話をしてくれました。三浦先生の生々しい体験に会場に集まった人たちも真剣に聞き入っていました。
 昼食・休憩を挟んで午後のプログラムが始まりました。カンファレンスの参加者はまず、第4体育館で行われている「あしたひろば」を見学しました。「あしたひろば」には地元宮城県から19人、岩手県から5人、山形県から6人のあわせて30人の子どもたちと石川県加賀市の石川県大聖寺高校の高校生3人、それに仙台大学の学生が参加しました。午後からは研究所の教職員の指導の下、子どもたちは1チーム6人にわかれ、5つのゲームを体と頭を使って思いっきり楽しみました。研究所がタレント発掘事業で培ってきたプログラムのなかでも盛り上がったのは、バトン大の円筒を半分に割った筒状のものを持ってピンポン玉を落とさないように10メートルほどを折り返しながら移動するというゲーム。失敗するたびに元に戻らなければならず、体育館中、子どもの元気な声が響き渡っていました。すべてのゲームがコミュニケーションを取らなければ成功しないというゲームになっており、子どもたちは心を一つにして遊びを楽しんでいるのが参加者にもわかりました。
 午後のカンファレンスは研究所の阿部篤志研究員の「子どもたちがスポーツを通して大震災を乗り越えるために」という情報提供で再開しました。阿部研究員は自身も参加してきた「第1回ユースオリンピック」などの体験を踏まえ、スポーツと文化教育プログラムを結びつけた活動の重要性を指摘した上で今後、仙台大学は被災地にある大学として被災地からのニーズになっていないニーズを拾い上げ、それを競技団体やスポーツ施設、専門家などと結び付ける「スポーツ&ヘルスコンシェルジュプロジェクト構想」の中核を担っていかなければならないーと提言しました。
 カンファレンスの締めくくりは「未来の担い手、子どもたちのあしたを考える」というシンポジウムでした。コーディネーターは仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の山内亨所長で、パネリストは(財)日本卓球協会常務理事・強化本部長の星野一朗氏、宮城県亘理町立荒浜中学校教諭の三浦秀昭氏と仙台大学の中房敏朗教授の3人です。このなかで、支援を行う側と支援を受ける側の温度差が大震災直後と現在とではかなり大きくなってきたのではないかという問題が話し合われました。非常事態という非日常を日常に戻すためにはどういった支援を行っていくべきかを悩む中央の競技団体と、「支援慣れ」してきた支援を受ける側という構図ができてきたことが浮き彫りになりました。
中房教授は最近デジカメで撮影してきた被災地の現状を紹介し、未だ復旧には程遠い現状を説明。そこに原発事故による放射性物質に怯えるという目に見えぬ恐怖が加わってきた、と指摘。こうした状況下で体育大学が何をなすべきかについて、学生に「人間力」と「社会力」を涵養し「スポーツ市民」として社会に送り出してやるという地道な教育ではないかとまとめました。
 続いて、話し合いを聞いていた三浦秀昭氏からは「実は先ほどまで暗澹たる気持ちで何もする気が起こらなかったが、今日のカンファレンスに参加して少し気持ちが変わってきた。これまで非常時に人と人が争うスポーツなんてと思っていたが、いま思い出したことがある。それは部活のソフトボールがとても苦手だった部員に中総体後、『先生、やってきてよかった』と言われたことだ。自分も仙台大学を卒業して長いこと体育教師をしてきたが最近はスポーツのことなど考えることも無かった。だがもう一度、スポーツの良さや力を改めて考えてみようと思った」と語り、被災した教育現場の最前線に立っている人だけにしかできない発言に出席者も熱心に耳を傾けていました。
このあと、研究所の粟木一博副所長が「あしたひろば」に参加した子どもたちが書いてくれた短冊で作った大きな木の絵を紹介、子どもたちが今日一日、十分に楽しんでくれたとあいさつ。
 最後に会場では仙台大学の女子バレーボール部が南相馬市の体育館で子どもたちにバレーボールを指導しているビデオが流されました。その中で、子どもたちがいま思っていること、したいことをカメラに向かって思い思いに話をしてくれました。多くの子どもたちの発言は特別なことではなく当たり前のことを当たり前にできるようになりたいのだ、というものでした。
 これを受けてコーディネーターの山内所長が「この子どもたちをはじめ、福島の子どもたちにはきょうの催しに参加してほしかったが、叶わなかった。福島の子どもたちには各方面からの呼びかけは数々あるが、被災地側は手一杯で移動やケアなどすべて呼ぶほうでやってもらうということでなければ子どもたちは預けられない、ということだった。震災後半年たって被災地、被災者のニーズは多様化している。それに対して支援する側は十分に対応できていないのではないか」と説明。最後に南相馬市の関係者が「被災地を支援したいという社会貢献のオリンピックが始まったようだ」という被災地からのシニカルとも思えるような声を紹介、現在行われている中央などからの支援のあり方を見直し、あくまでも被災地の現状に合わせた支援を行うべきだとまとめ、カンファレンスを閉会しました。

2011年7月19日火曜日

i-SIM News085/「TEAM宮城」実践的な情報支援活動


こんにちは。スポーツ情報マスメディア(SIM)学科では、3年になるとスポーツ情報戦略論演習2の授業が行われます。この中で私たち有志は「TEAM宮城」という情報支援プロジェクトを立ち上げ、実践的な活動を多角的に展開しています。(SIM学科3年 伊藤ありさ)

「TEAM宮城」は宮城県の高校スポーツ(選手はもちろん関係者全て)がより活性化するよう、宮城県高等学校体育連盟の協力を得て活動をしています。活動を始める前に綿密な打ち合わせを行い、宮城県の高校スポーツ界の実態や課題を教えていただきました。今年は東日本大震災に見舞われ、多くの面で影響が出ているというお話もありました。また宮城県では「BUKATSU2011」という、運動、文化部を問わず部活に参加するよう呼びかけを行っている全国的にもユニークな取り組みがあることを教えていただきました。多くの高校生が部活に参加することによって運動部では選手層が厚くなり、競技力向上に繋がるのではないかと考えています。そうしたことからBUKATSU2011も視野に入れ、現時点では宮城県高等学校総合体育大会(以下、県高総体)の試合と選手・監督のインタビュー撮影を実施しました。また、ニュースレターの配布、文化部の活動の様子も撮影しました。ニュースレターは6月4・5日に開催された県高総体の初日に、保護者の方から多く得られた“選手の食事を気をつけている”という情報から、栄養やレシピの例を載せることに決め、2日目に配布しました。そのほか運動部の競技力向上を目指し、様々な情報を集めているところです。
これまで撮影した映像や集めた情報はBUKATSU2011グループと競技力向上グループに分かれて、まとめています。BUKATSU2011グループでは部活に入って頑張りたいと感じていただけるような映像を作成し、競技力向上グループでは宮城県の高校スポーツが活発になるために役立つような情報を提供できればと考えています。

2011年7月6日水曜日

i-SIM News084/準備大詰め!学科一日体験会

  東日本大震災で授業開始が1カ月遅れたためか、あっという間に暑い夏がやってきました。大学は例年、夏の声を聞くと来年の新入生を迎える準備に入ります。7月9日(土)、10日(日)は学科一日体験会が開かれます。受験生にしっかりと大学・学科を知ってもらうのが狙いです。(山内亨スポーツ情報マスメディア学科長・研究所長)
http://isim-suni.blogspot.com/

仙台大学の学科一日体験会は毎年暑い夏がやってくる直前に開かれます。大学数の増加と少子化の影響で、一部の大学を除き進学希望者の全入時代を迎えたといわれています。仙台大学は定員を割る事態にはなっていませんが、安易に受験し入学し、「こんなはずじゃなかった」と進路変更を求める学生が毎年数人います。
大学の内容をよく知ってもらうと同時に、ミスマッチから進路変更などの事態を避けたいと企画されたのが「学科一日体験会」です。各学科は普段の授業を見てもらうと共に学科の魅力を知ってもらおうと工夫を凝らしています。

 スポーツ情報マスメディア学科は体育学科、現代武道学科と9日に開催します。
3学科合同で受講者を迎えた後、各学科の在校生が仙台大学の魅力を説明します。学生はこれまで4年間で培った力を発揮しようと汗を拭き拭き撮影と編集に飛び回っています。
バレーボールの情報分析活動に耳を傾ける高校生たち
1限目の「コミュニケーションスキル体験」と「情報とは」の講義の後は、4人の先生が「競技力向上のための戦略映像」「テレビ番組ができるまで」「国際競技力向上と情報戦略」「ジャーナリズムの世界を知る」と普段大学で行っている内容を分かり易く紹介する授業を準備しています。
在学生が関わる「学科一日体験会」の役割がもうひとつあります。1日の締めくくりで見せる「振り返り」VTR制作です。各学科からイベント内容を細かく撮影し紹介して欲しいと要望が来ています。とは言え、3分から5分で全てを見せるのは難しく、終了間際の授業を短時間でどのように撮影し編集しようかと打ち合わせを繰り返しています。
プロの世界ならば再生機を複数準備して、ロール分け編集・ロール出しをします。
映像編集チームのミーティング風景
確実に編集が出来る時間までの部分とギリギリになる部分を分けて編集し、完成している部分が流されている最中に後半部分を持ち込んで紹介する「追っかけ放送」スタイルも可能です。さらに時間が無ければノー編集ラッシュ出しもあります。このためには取材対象をあたかも編集したようにカットを吟味して撮影する必要があります。いずれにしてもどんな撮影方法、編集方法が最も上手くいくか最終打ち合わせ中です。
他学科の期待に答え、どんな映像紹介が出来るか楽しみです。そして「学科一日体験会」に参加した受講生が1人でも多く仙台大学に入学してくれることを望みます。

2011年6月16日木曜日

i-SIM News083/情報戦略「知の集約と発信」拠点、いよいよ始動=ISIM情報センター


 仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)は20116月、スポーツ情報戦略に関わるハブ拠点「スポーツ情報戦略研究センター」を開設した。学内外で行われる情報戦略活動の実践者が集い、知識や経験を共有する。また学生は情報戦略の「実務と実践」に触れて学ぶ。その真のねらいとは。(ISIM 阿部研究員)

 ISIMスポーツ情報戦略研究センター(ISIM Sport Intelligence and Technical Research Center)を統括する阿部篤志講師に聞く。

◯ 情報センターを立ち上げたねらいは?
 「情報センターの目的は3つあります。一つは、学科・研究所を立ち上げてから展開されてきた学内外での様々な情報戦略活動を一元化するための「拠点」を設けること。二つ目は、明確な拠点を示すことで情報戦略活動に関わる人の「ネットワーク化」を図ること。三つ目は、学内外における情報戦略に関わる人の繋がりと出入りを通じて情報戦略に関する「知見の集約と発信」を図ることにあります。
 これらを実現することは、仙台大学における情報戦略領域の教育・研究活動の質を高める上で不可欠なことであり、ISIMの創成期であるこれまでの3年間における、情報戦略に関わる様々な挑戦を整理し体系化していく「発展期」へと移行する必要がありました。そのことが、情報戦略研究領域における相互協力協定※を締結しているJISSをはじめとする、学外関連団体との連携を、双方にとってより有益なものへと導くことができると考えるからです。」

◯ どのような取り組みを考えていますか?
 「本年度の情報センターは『支援プログラム(Support and Consulting Program)』と『アカデミープログラム(Academy Program)』の二つの柱で運営する予定です。
 支援プログラムは、学内であれば部活動、学外であれば地域のスポーツ団体などとの連携により、実際の情報戦略支援活動に関わります。『情報戦略支援』という言葉は馴染みがないかと思いますが、簡単に言うと、スポーツに関わるチーム(選手)や組織の目的や目標を達成するための営みに「役に立つ」情報を提供する活動です。映像を撮影してゲーム分析やパフォーマンス分析を支援することもあれば、チームの活動を戦略的に伝えるためのDVDを作成することもあります。ミーティングや会議で配布する効果的な文書(資料)を作成することも情報戦略支援活動の一つです。いずれも大事なことは、目的達成に向けて期待される変化(Effect)を理解し、その変化を生み出すために鍵となるメッセージ(Message)を信頼のおける情報源(Source)から収集した情報内容(Content)を用いて、対象となる人(Target)に効果的に伝達(Operation)していくことにあります。
 その一連の活動で生み出された付加価値のある情報(Intelligence)は、様々なスポーツ活動を進めていく意志決定者の判断と決断を支えます。情報を有効に活用してもらうためには、情報戦略活動を必要とする方々との信頼関係を築くことが不可欠です。私たちは学生が一連の取り組みの中で、そのようなことも含めて、スポーツの価値を認め、情報を正確かつ適切に扱い、問題解決を支えることのできる人へと成長してほしいと願いつつ、プログラムを計画しています。
 アカデミープログラムは、その実践をより質の高いものへと変化させていくための場として、以下のような枠組みでの運営を予定しています。

アカデミープログラムの枠組みと内容(一部計画案)
プロジェクト
内容
情報戦略事例検討会
学内外の様々な枠組み(例えば地域タレント発掘・育成やJISSJOCでの実地研修、部活動など)において行っている情報戦略活動を報告・共有する場とする。学外関係者を招聘した事例紹介も含む
競技間連携情報戦略フォーラム
指導者が集まり、競技力向上において情報をどのような視点や方法で扱っているかを一堂に会す形で共有し、競技を越えたディスカッションを試みる
映像活用ワークショップ
情報戦略活動において一つの活動領域としてニーズが増大している「(競技)映像の活用」に焦点をあてた勉強会とする。
情報(IT)リテラシー向上セミナー
昨年度までの3ヵ年で実施された「情報(IT)リテラシー教育手法の検討」の成果を生かし、仕事を効果的に進める上で必要なスキルの一つとして重要な「情報技術(IT)」に焦点をあてたセミナーを全学公開(オープン)で開催する。この取り組みに対しては、学内からの要望も多く寄せられている
学外連携アカデミー
ISIMとして従来から取り組んできた学外への学生派遣による実践的な教育活動を継続しつつ、同様の活動への参画に高い意志を持つ、より多くの学生に対し、分かりやすく機会が開かれるように調整する機能を果たす

◯ ここで学ぶ学生に向けて一言
 「情報センターは、学生の皆さんがチームとして互いに出会い、学び合い、高まり合うための『場』として用意されました。現在、大学で学ぶ皆さんはもちろんのこと、これから大学進学を目指して勉強をしている高校生の皆さんにも、新しい可能性に挑戦し世界を広げてもらう『場』として、ここを目指してもらいたいと考えています。」

 ISIMスポーツ情報戦略研究センターについての詳しい内容は、スポーツ情報マスメディア研究所(TEL 0224-55-1045/担当:稲福)までお問い合わせ下さい。

※仙台大学とJISSとの「スポーツ情報研究に対する連携協力に関する協定」
 国立スポーツ科学センター(JISS)と仙台大学は200710月、「スポーツ情報研究に対する連携協力に関する協定」を締結し、「スポーツ情報戦略に関わる共同研究やインターンシップの実施等の業務提携・人的交流を通じ、わが国のスポーツ情報分野の発展と次世代に向けた人材育成を図る」ことを目的としました。
 この連携で目指してきたことについては「JISS-仙台大・スポーツ情報戦略連携の可能性~仙台大スポーツ情報マスメディア研究所設立の背景と期待~」(20071219日)に詳しく記されていますのでご覧ください。
http://naash.go.jp/jiss/Portals/0/column/action_54.html


 国立スポーツ科学センターと情報戦略研究で連携(2007年)
~JISSとの提携は私立大学では初~
http://www.sendaidaigaku.jp/new_topics/index.php?id=28&mode=style1 

2011年2月14日月曜日

i-SIM News078/「教えて!先生」〈10〉阿部篤志先生/情報戦略は準備の科学

こんばんは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の大町です。先週は悪天候の中、一般入試(前期)挑戦のため来学された受験生のみなさん、本当にお疲れ様でした。今週も前回に引き続き「教えて!先生」をお送りいたします。今回はこの研究所の研究員で、本学講師の阿部 篤志(あべ・あつし)先生です。ご専門はスポーツ情報戦略です。スポーツにおける情報戦略とは?
◆情報戦略は準備の科学
世界で活躍するための要件に、「その『世界』にいることが自分にとって『当たり前』であるかどうか」ということがあります。この「世界」というのは、競技スポーツでいえば当然「競技レベル」でもあるのですが、実はそれだけではありません。実力を発揮する上で、世界とは「仲間」や「場」を意味することもあります。あるいは「条件(ルール)」をさすことも。いずれもよく「知る」ことが肝要です。つまり、自分の目標を偶然から必然に近づけることは、多くの部分で「準備(preparation)」に委ねられているのです。情報を以(もっ)て世界を見渡すことで、あらかじめその時に備えて行動を起こしていくこと。「スポーツ情報戦略」とは準備の科学なのです。
<編集後記>
仙台大学では、先週から学生たちが約2ヶ月間の長い春休みに入りました。帰省する人、大学で自主学習を行う人、アルバイトに精出す人ー。人によって休みの過ごし方は異なりますが、春休みは新たなステージを迎えるための大切な準備期間です。志望達成のためラストスパートが必要な人もいることでしょう。みんなが"桜満開の春"を迎えられることを願っております。(大町)

2011年1月31日月曜日

i-SIM News076/「教えて!先生」〈8〉石丸出穂先生/バレーボールの情報戦略活動

 こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の大町です。
 今週から、年末年始などで中断していた「教えて!先生」をお送り致します。今回は仙台大学講師、仙台大学男子バレーボール部監督を務める石丸 出穂(いしまる・いずほ)先生です。それでは石丸先生、よろしくお願い致します。
◆バレーボールの情報戦略活動
 皆さんこんにちは。石丸出穂と申します。私は男子バレーボール部の監督をやりながら、『アナリスト』というゲーム分析を中心とした、情報戦略スタッフを育成しています。昨年11月に東京で行われた女子世界バレーで、日本が銅メダルを獲得した事はご存知の方も多いと思います。熱戦の最中、眞鍋監督がiPadを片手に、選手に指示を出す姿がテレビを通して全国に流れました。そのiPadにゲーム情報を送っていたのが『アナリスト』です。今やバレーボール界では日本だけでなく、アナリストの情報なくして世界と戦うことは、とても考えられない状況になっています。ゲームで現れる情報を収集・分析・伝達して、監督の意思決定サポートを行っていくことが、バレーボールの情報戦略活動を担うアナリストの重要な役割なのです。
《編集後記》
 石丸先生はバレーボールの実技指導だけではなく、部活動でのミーティングの持ち方や、対象者に応じた指導の方法などを学生が自ら考えながら演習するという、大変ユニークな授業を行っています。「コミュニケーション」や「情報収集」といった、座学だけでは身につけられないことを、頭と体を使って自分で考えて動いてみるのが大学の授業です。そのねらいは、実際の場面で活かす「状況に応じた実践力」を伸ばすこと。そこが大学の良いところだと私は感じています。(大町)

2010年11月29日月曜日

i-SIM News069/広州アジア競技大会の情報戦略活動<3完>

こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の大町です。2週続けてお送りしたアジア競技大会の情報戦略活動の報告も、今回が最後となります。日本チームを支えるための情報戦略活動について、東京の本部でも活動をされていた阿部先生に締めくくっていただきます。よろしくお願いします。
◆広州アジア競技大会の情報戦略活動<3完>
こんにちは。テレビで連日、アジア大会で戦う選手たちの活躍を応援された方も少なくないと思います。それでも全体では、日本代表選手団は当初の目標を下方修正せざるを得ない、厳しい戦いを強いられました。まぎれもなく世界が先へ先へと動いていることを実感した大会でした。
東京ではその背景を的確に捉えるための情報を集約・分析する取り組みを進めてきました。例えば、どの競技種目で勢力図が変化したのか、2年後のオリンピックとアジア大会の競技成績は関係があるのか、各国はどのような方針や戦略で選手を派遣してきているのかなどです。大会は終わりましたが情報チームはまだ解散せず、まさに今、総括分析レポートをまとめています。
私たちはつい、メダルの数そのものだけに目を奪われがちですが、情報戦略の観点からは、そのメダルの数を支えるものは何かに目を向けることが極めて大事であると考えています。

まとめられたレポートは、2年後のロンドンオリンピック、4年後に韓国の仁川(インチョン)で開催される第17回アジア競技大会に向けた様々な判断や意思決定を支える情報となります。
〈編集後記〉
今回のアジア競技大会で、日本は48個の金メダルを獲得しました。これは中国、韓国に次いで3位の成績です。みなさんも自分が関わっている競技の成績は、アジアの中でどのくらいの位置にあるのか調べてみてはいかがでしょうか。それができれば情報戦略スタッフへの第一歩を踏み出したと言えますよ。(大町)

2010年11月22日月曜日

i-SIM News068/広州アジア競技大会の情報戦略活動<2>

こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所 (ISIM)の稲福です。今回は先週からお送りしています広州アジア競技大会第2弾。大会も半ばを越え、本学のスポーツ情報マスメディア(SIM)学科3年生が取り組んでいる日本代表選手団への情報戦略支援活動も一層熱が入っております。活動について、同学科の粟木一博先生からの報告です。
◆広州アジア競技大会の情報戦略活動<2>
アジア各国から集まった選手たちが広州の地で連日の熱戦を繰り広げています。前回お知らせしたとおり、本学科3年生が受講している「スポーツ情報戦略論実習2」の内容についてお話したいと思います。内容は大きく2つに分けることができます。ひとつは各国の選手団のプロフィールを収集・分析することです。競技大会にどのような選手団を派遣するかということには各国・地域の戦略が現れます。例えば、「若い選手を派遣して経験を積ませよう」などのようにです。もうひとつはアジア競技大会とオリンピックの成績との関連性を探る活動です。過去の大会に遡り、戦績データを収集・分析することによって今大会の成績の分析を2012年に開催されるロンドンオリンピックに役立てようとする活動です。学生たちには自分の課題の大切さをよく認識した上でこの実習に臨むことが求められています。
<編集後記>
皆さんいかがでしたか。今回ご紹介した活動やその他SIM学科の授業内容等で気になることや知りたいことがありましたら、isim2008@scn.ac.jpまでお気軽にお送りください。日に日に寒くなって参りました。体調管理には気をつけてください。(稲福)

2010年11月15日月曜日

i-SIM News067/広州アジア競技大会の情報戦略活動<1>

こんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所の岩瀬です。昨夜は、32年ぶりの日本女子バレー世界選手権銅メダル獲得で沸きましたが、中国の広州からも連日、日本代表の活躍が伝えられています。阿部研究員からの報告です。

◆広州アジア競技大会の情報戦略活動<1>    
「3989」。何の数字か分かりますか。これは先週の金曜日、11月12日に中国の広州で開幕した第16回アジア競技大会で提供される「総メダル」の数です。本大会には45の国と地域から史上最多の9,704人が参加し、42競技476種目において、このメダルをかけた戦いが繰り広げられています。アジア大会は、オリンピック周期の中間年に開催されることから、最近ではアジア大会を2年後のオリンピックに向けたステップとして位置づける動きもあります。本大会では初めて、日本選手団の支援拠点「マルチサポートハウス」が選手村の外に設置されました。医師の常駐やミーティングスペース、日本食の提供など、2012年ロンドンオリンピックに向けたトライアルが始まっています。本大会においても、日本代表選手団への情報戦略支援活動が行われ、本学のスポーツ情報マスメディア学科3年「スポーツ情報戦略論実習2」の学生たちが、この活動を通じて情報戦略を学ぶプログラムを始めています。詳細は次号以降でお知らせします。

<編集後記>
こうして本学のスポーツ情報マスメディア学科に籍を置くと、実際に日本代表を支える情報支援活動に参加し、今までとは違った角度でスポーツに接することができます。今週金・土曜日と推薦入試を控えている皆さん、体調には十分気をつけて下さいね。また、来週月曜日22日からはAO入試AB方式2期の出願も始まります。ぜひ、本学の扉を叩いて"情報"の面からスポーツに触れてみませんか。詳しくは入試創職室(0224-55-1017)まで電話し入試要項をお取り寄せ下さい。(岩瀬)

2010年11月8日月曜日

i-SIM News066/「教えて!先生」〈5〉藤本晋也先生/映像機器を活かすための分析の視点

こんにちは。研究所の大町です。11月に入り寒さもまた一段と増してきましたが、今週も元気に「教えて!先生」の5回目をお届け致します。今回はスポーツ情報戦略が専門の藤本晋也(ふじもと・しんや)先生です。それでは藤本先生よろしくお願いいたします。
◆映像機器を活かすための分析の視点
皆さんこんにちは。藤本晋也です。私はスポーツ情報の研究を専門としています。現在では、スポーツ界でもIT機器を活用した取り組みが多く行われています。その中でも映像をフォームの分析や戦術分析等に活用されているのは、皆さんもご存知のことと思います。しかし「何が見たいのか」「何のために撮影を行っているか」等の視点(観点)をしっかりと持ち、写真や映像の撮影をしなければ、ただその場の状況を漠然と撮影しているに過ぎません。何かを改善しようとする時など、特に「分析のための視点」が欠かせません。皆さんも映像を活用する機会があると思うので、「何が見たいのか」「何のために撮影を行っているか」等の「分析のための視点」をいつも念頭において撮影することが大切です。
〈編集後記〉
今週の金曜日から中国の広州で第16回アジア競技大会が開催されます。i-SIM Newsでは来週以降、「教えて!先生」シリーズを中断してアジア競技大会に関する情報を提供していく予定です。(大町)

2010年10月18日月曜日

i-SIM News063/「教えて!先生」〈2〉粟木一博先生/スポーツ情報戦略活動を学ぶ

こんにちは。スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の大町です。今回は今月4日から始まった「教えて!先生」の第2弾。スポーツ情報マスメディア(SIM)学科の粟木一博(あわき・かずひろ)教授に登場してもらいます。先生はISIMの副所長に加え、女子ソフトボール部の部長も務める"熱血教師"です。それでは粟木先生よろしくお願い致します。
◆スポーツ情報戦略活動を学ぶ
11月12日から中国の広州においてアジア競技大会が開催されます。これは、学生がスポーツ情報戦略を学ぶ絶好の機会です。アジアの各国がどのような競技力向上の取り組みをしているのか、どのような戦力分布が見られるのか、実習のテーマには事欠きません。
このように、私たちは、実際のデータを取り扱い、日本の競技力、さらに世界のスポーツ、そしてスポーツの未来を考えるという大切な役割を担う人材を育てようとしています。
〈編集後記〉
粟木先生は研究所で提供しているグローバルスポーツ教育プログラムの講師として、各地域のタレント発掘・育成事業へ毎週のように全国を飛び回っています。
現在のスポーツについて自分が考えることを周りの人間に伝える−。このことが、きっとスポーツの未来をみんなで考える第一歩になると思いますよ!(大町)

2010年6月14日月曜日

i-SIM News:046/組織的な情報活動の役割と機能=「TEAM宮城」プロジェクト

仙台大学講師の阿部です。梅雨の季節となりましたね。雨はスポーツの価値を高めてくれている、と言ったら不思議に思いますか? スポーツには「その状況に自分がどう向き合えるかを試される場」であることに大きな価値があります。雨はいつも私たちに想定外のシナリオを提供してくれます。「ああ、また今日も雨か」とグラウンドで練習ができず、悶々としたことをよく覚えています。「仕方がない」と諦めることなく、その時に自分が何を考え、いかに工夫したり行動するかが、私たちの気づきや学びを促します。雨が降ったら「試されているんだな」と自分と向き合い、知恵を出し合い、その状況に挑戦する。雨を皆さんの味方につけてほしいと思います。
さて今日は、宮城県高校総体を活動の場として展開している授業「TEAM宮城」プロジェクトにおいて、組織的な情報活動を進める上での「役割と機能」についてご紹介します。ナビゲーターは、TEAM宮城プロジェクトリーダーを務めている高橋悠さんです。
◆組織的な情報活動の役割と機能
こんにちは。スポーツ情報マスメディア(SIM)学科3年の高橋悠です。今回は「TEAM宮城」の中での「組織的な情報活動」にはどのような機能や役割があるのかということについてご紹介したいと思います。
私たちは現在以下の4つのチームに分かれて活動しています。
(1)情報支援活動本部
ここでは各情報活動の統括や連携先とのコミュニケーションを図るという役割を担っています。その他にも各チームがそれぞれの仕事をしやすいような環境作りや状況によっては作業の振り分け等も行います。
(2)インテリジェンス・チーム
インテリジェンス(Intelligence)とは情報・知識という意味です。ここではスポーツ活性化に向けて新たな工夫につながる情報の収集と共有を図るため、公刊資料(オープンソース)や高校総体会場での取材からの情報収集を行っています。
(3)アナリシス・チーム
アナリシス(Analysis)とは分析という意味です。ここではデータに基づく分析により、高校総体の現状や全体像を把握するため、オープンソースや過去の大会関連資料による分析活動を行っています。
(4)プロモーション・チーム
プロモーション(Promotion)とは普及促進という意味です。宮城県高体連や高校総体が目指すスポーツや部活動のあり方や具体的な取り組みについて、その普及や促進を図るため、競技会場へ行き実際の試合の撮影や選手への取材から、プロモーションビデオを作成しています。(部活動2010)
各チームでリーダーを決定し、そのリーダーを中心としてこれらの役割や目的に沿った情報支援活動を行っています。全体でまとまっての作業というものがほんどなく、チームごとの活動が多くなります。しかし、定期的にリーダーミーティングを行い各チームの作業の進捗報告や今後の活動について話し合っています。またFDルーム(仙台大学第3体育館2階)の一角を情報共有スペースとして使用しています。ここにはチームミーティングの議事録や活動計画等様々な情報が貼り出されているので、他のチームが現在どのような活動を行っているのかがわかるようになっています。
このように役割分担をし、活動を行うことで様々な視点から情報を収集することができます。更にはそれらの情報をいろいろな形で共有・発信することもできます。
大きな組織になればなるほど1つにまとまるのは大変ですが、最終目標(今回の場合には「宮城県高校総体におけるスポーツ活性化」)を全員が念頭に置き、それに向かって自分たちの役目を着実に果たしていくことで、組織としての機能が十分に発揮されていくのだと思います。
<編集後記>
いかがでしたか。組織的活動では、メンバー全員が共通に目指すもの(ビジョン)を持てるかどうかがとても大切です。個人とチームのパフォーマンスは常に互いに影響し合います。個人競技であっても、部としてのチーム化が重要だと言われる理由は、そこにあるかも知れません。ご意見・ご質問は isim2008@scn.ac.jp まで。(阿部篤志)

2010年6月7日月曜日

i-SIM News:045/「TEAM宮城」キックオフ!=組織的な情報戦略活動を学ぶ

仙台大学講師の阿部です。先週末はあいにくの雨の中、多くの競技種目で県高校総体が開催されました。私は土曜日、本学学生とともに大和町の宮城県自転車競技場へ。人生で初めて、すりばち状になっているバンクの内側から競技を観ました。アスファルトの上を高速で走り抜ける自転車の「ゴーッ」というタイヤ音と、響き渡るコーチたちのラップタイムを伝える声が印象的でした。今日は、高校総体の現場で行われている私たちの演習授業についてご紹介します。
◆組織として情報戦略を学ぶ 「TEAM宮城」キックオフ!
こんにちは、スポーツ情報マスメディア(SIM)学科4年の大町祐太です。SIM学科では3年生の「スポーツ情報戦略論演習�」という授業の中で「TEAM宮城」という情報支援プロジェクトを立ち上げ、実践的な授業を実施しています。「TEAM宮城」とは、オリンピックにおける日本代表選手団に対する情報後方支援活動(東京Jプロジェクト)をモデルとして、宮城県高校総体という総合競技大会の現場において「組織的」に情報(インフォメーションやインテリジェンス)を扱うことを様々な視点から学びます。このプロジェクトの一番の目的は、スポーツに関わる選手・指導者・関係者が、スポーツの価値(Value)やこれからのスポーツのあるべき姿について、新たな情報や観点から考える一つのきっかけを作ることにあります。
例えば「他校の取り組みを参考として、ある高校の部活動の現場で新たな取り組みが生まれる」「部活動への理解が促進されて加入する生徒が増える」など、ぽつりぽつりと未来に向けた新たな試みや動きが生まれていくことで、宮城県の高校スポーツがもっと豊かで魅力的なものになっていく、そういったきっかけとなる「種」を植えることが、今回のプロジェクトの使命(Mission)と言えます。
私たちは昨年度、今回の活動の前身となる「Team RIFU 2009プロジェクト」を実施しました。宮城県の利府高等学校の高校総体での各部活動の戦いを、情報面で戦略的に後方支援するという形の演習でした。このプロジェクトでは、競技の枠を超えて「一つのチーム」として戦う気持ちを持てるように、各会場に散らばった情報戦略スタッフが収集した情報を1枚のニュースレターに集約し、それを再び各会場で配布しました。また試合の映像や他の部の学生へ向けたコメントを撮影し、モチベーションビデオの制作にもチャレンジしました。
本年度も高校総体の会場でビデオカメラを片手に情報活動をしている若い情報戦略スタッフを見かけたかも知れません。現場から大学に戻った彼らは今日も、6月末にかけて、収集した情報を加工・分析して今後の高校総体や部活動を考える上で参考となるレポートを作成したり、プロモーションビデオを作成しています。
◆学科一日体験会、7月10日(土)開催が決定!
来る7月10日(土)、仙台大学にて「学科一日体験会(体育学科・スポーツ情報マスメディア学科共催)」が開催されます。大学の授業を体験したり、進学について大学の先生や職員に直接相談をする良い機会ですので、ぜひお気軽にお越し下さい。参加お申し込み等の詳細は後日、本学本学ホームページ http://www.sendaidaigaku.jp/ で案内されますのでチェックしてください。また来週以降のi-SIM Newsでもお知らせする予定です。
<編集後記>
来週は「TEAM宮城」情報支援プロジェクトの続編です。組織的な情報活動にはどのような機能や役割があるのか具体的にご紹介します。普段のスポーツ活動に役立つ情報が満載です。乞うご期待。(阿部篤志)

2010年4月12日月曜日

i-SIM News:038/スポ情4年より新入生へ!

皆さんこんにちは。仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所(ISIM)の宮本です。新年度が始まり10日が経ちました。高校生や中学生の皆さんは、学校が始まりいかがお過ごしでしょうか。仙台大学でも先週月曜日から新年度のオリエンテーションが始まり、水曜日からは本格的に授業も始まりました。今回のi-SIM Newsでは、仙台大学スポーツ情報マスメディア(SIM)学科の4年生から新入生に向けたメッセージをいただきました。それでは、大町祐太さん、阿部ちはるさん、よろしくお願いします。

◆先輩から一言
スポーツ情報戦略コース:大町祐太
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。SIM学科、スポーツ情報戦略コース4年の大町祐太です。情報戦略コースでは、人と触れる機会がたくさんあります。その中で情報を収集し、「加工」して相手に伝える(渡す)ことが重要になります。情報を伝える(渡す)相手、タイミング、方法、スピード、そして情報の質。全てを網羅した上で、最も相手のためになる情報を渡すことが情報戦略だと私は3年間で学びました。最後に「情報戦略を扱う人間は、誰よりも人に温かく接し、それと同時に冷静さを兼ね備えておかなければならない」。これを常に頭に入れて4年間、勉強に励んでいきましょう!
スポーツマスメディアコース:阿部ちはる
皆さんご入学おめでとうございます。SIM学科、スポーツマスメディアコースの阿部ちはるです。マスメディアコースでは、原稿の書き方や構成を学ぶ文章作法演習の授業のほか、取材・報道演習のように取材の方法やルール・マナーなどを学ぶ授業があります。新聞社やテレビ局で働いていた先生が教えてくださるため、実践的で、リアリティのある話もたくさん聞くことができます。新たな技術の出現で、人々の暮らし方や考え方も変わり、メディアの姿も変化しています。メディアについて学び、これからの多メディア社会に必要な知識を身につけましょう!

今回のi-SIM Newsはいかがでしたか。これまで3年間学んできたことを2人の学生は伝えてくれました。皆さんも、これまで学んできた「人」と「人」との関係や情報を伝える力をさらに向上させてください。私自身も、i-SIM Newsを通して、「伝える」ということを学んでいます。聞きたいことなどがあったら、研究所にぜひどうぞ。歓迎します。isim2008@scn.ac.jp(宮本)